研究課題/領域番号 |
17K07800
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
木原 稔 東海大学, 生物学部, 教授 (40405684)
|
研究分担者 |
海谷 啓之 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40300975)
西川 正純 宮城大学, 食産業学群(部), 教授 (90404839)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | N-RIA / salmon C-RIA / in vitro消化 / ペプチドホルモン / 経口 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、心不全抑制効果を示すグレリン含有サケ胃抽出物(sSE)の機能成分本体がグレリンであることを特定し、経口摂取後のサケグレリンが消化を免れ吸収されること、食品として摂取しても安全であることを明らかにすることである。 現在の活性型グレリン測定は、グレリン分子のN末端側の脂肪酸修飾を含めた配列が動物種を越えて保存性が高いことを利用した放射免疫測定系(N-RIA)である。しかしながら共通性の高いこの方法を、マウスを使ったサケグレリン吸収実験に用いると、血中に現れたグレリンが吸収されたサケグレリンなのかマウスのグレリンなのかが不明確である。そこで、サケグレリンC末端側抗体を用いたサケグレリン特異的測定系(salmon C-RIA)を考案した。現在、抗体作製が完了しサケグレリンC末端側配列14アミノ酸を合成してsalmon C-RIAを構築中である。 ノーマルマウスにAIN-93Gを基礎配合として、sSE 1%、sSE 2%、sSE 4%配合飼料を8週間与えたところ、死亡や行動の異常などは認められなかった。体重増加や摂餌量はsSE配合飼料を与えた3区がControl区よりも高く、グレリンの生理作用である体重増加や摂餌量増加が認められたことから、sSE中に含まれるグレリンが経口的に作用していることが強く示唆された。内臓脂肪重量はControl区よりsSE 1%区が有意に大きく、また有意な差は見られなかったがsSE 2%区、sSE 4%区の重量はControl区よりも大きくなっていた。肝臓脂肪重量や大腿部筋肉脂肪重量は区間差がなかった。 ブタペプシン、パンクレアチンで合成サケグレリンをin vitro消化する系を検討した。現在そのグレリン被消化性を測定しながら、生体試料分析へ応用するための条件を検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サケグレリン特異的測定系(salmon C-RIA)、ならびにサケグレリンのin vitro消化実験系はいずれも新規手法の構築のため、抗体作成や消化条件の設定に時間を要しており遅れ気味である。
|
今後の研究の推進方策 |
グレリン含有サケ胃抽出物(sSE)の機能成分本体がグレリンであることを特定するために、グレリン受容体拮抗物([D-Lys3]-GHRP-6)を投与することによる心不全改善効果の打ち消し作用を確認することを計画していたが、グレリン受容体ノックアウトマウスの使用は、機能成分がグレリンであることを特定するために極めて効果的な方法である。当初計画にはないが、研究推進のための代替手法として検討中である。 遅れ気味のサケグレリン特異的測定系、ならびにサケグレリンのin vitro消化実験系は構築できしだい遅れを取り戻すべく努力したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
先にも述べたとおり、サケグレリン特異的測定系(salmon C-RIA)、ならびにサケグレリンのin vitro消化実験系が新規手法のため構築が遅れ気味であることから、分析用消耗品等の費用に未使用が生じてしまった。 今年度、遅れている手法構築が整えば計画通り使用することになる。
|