研究課題
「運動」は多様な面で恩恵をもたらす。近年、運動により骨格筋から「マイオカイン」と呼ばれるホルモン様の生理活性物質が分泌され、このシグナルを介して運動の効果が得られることが分かってきた。ヒトで運動により骨格筋から分泌され、血中濃度が上昇することが明確となった最初のマイオカインはインターロイキン-6(IL-6)である。その他にも同様の作用を持つマイオカインが同定されている。このような背景を踏まえて本研究は、運動と食品因子の併用によるマイオカイン分泌の増強を介した白色脂肪組織中での「褐色脂肪細胞化」誘導の促進作用を明らかにし、運動と食品因子の併用によるマイオカイン分泌を標的とする新しい肥満予防研究の視点と基盤を提示することを目的としている。今年度は、運動によるマイオカイン分泌を増強する食品因子を明らかにするため、まず骨格筋モデルのマウスC2C12細胞を用い、定法により筋管細胞へ分化させ電気パルス刺激による筋収縮の条件を検討した。その結果、ある程度の条件を絞り込むことができたが、筋収縮とマイオカイン分泌をより明確にするために培地等の再検討を実施する必要性が出てきた。一方動物個体での運動条件に関しては、マウスのトレッドミルによる運動を実施して褐色脂肪細胞化誘導の条件の確立を試みた。その結果、褐色脂肪細胞化の誘導に関しては、必要な走行条件を得ることができた。なお、マイオカイン分泌促進作用に関する運動条件は、一過性の運動と長期の運動の比較検討を行う必要があるため、この点に関しては次年度に引き続き検討する。
3: やや遅れている
当初の予定では、マウス由来の骨格筋モデルの細胞であるC2C12細胞を用いて筋収縮装置の最適な条件を検討し、最適な評価法を確立するつもりであったが、単純に電気刺激のレベルのみに依存せず、細胞のロットや培地等でかなり筋収縮が影響を受けることが分かってきた。この点についいては、30年度で引き続き実施し、進捗の大幅な遅れがないようにする。
細胞での一部の条件検討の課題など、若干の遅れはあるものの、ほぼ予定通り進めることができているので、計画に従い研究を進める。
(理由)消耗品の値引きで消耗品の支出がわずかながら少額となり端数(6円)が生じたため。(使用計画)平成30年度は29年度の予算と合わせて試薬類購入費用にあてる。
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