研究課題
「運動」は多様な面で恩恵をもたらす。近年、運動により骨格筋から「マイオカイン」と呼ばれるホルモン様の生理活性物質が分泌され、このシグナルを介して運動の効果が得られることが分かってきた。ヒトで運動により骨格筋から分泌され、血中濃度が上昇することが明確となった最初のマイオカインはインターロイキン-6(IL-6)である。その他にも同様の作用を持つマイオカインが同定されている。このような背景を踏まえて本研究は、運動と食品因子の併用によるマイオカイン分泌の増強を介した白色脂肪組織中での「褐色脂肪細胞化」誘導の促進作用を明らかにし、運動と食品因子の併用によるマイオカイン分泌を標的とする新しい肥満予防研究の視点と基盤を提示することを目的としている。今年度は、昨年度あきらかにした食品由来因子をマウスへ投与し、運動負荷を実施した。はじめに食品由来因子のみでは褐色脂肪細胞化の誘導が起こらないことを確認した。次に運動負荷条件を検討して運動負荷のみでは褐色脂肪細胞化の誘導が起こらない条件を設定した。これらの結果をもとにして、食品由来因子と運動の併用を実施し、褐色脂肪細胞化誘導作用を調べた。その結果、この併用により褐色脂肪細胞化が誘導された。さらにその作用機序を検討した結果、併用においては、IL-6の血中への分泌が有意に上昇した。一方、FGF21の血中への分泌には影響を与えなかった。従って本研究において併用による褐色脂肪細胞化の誘導にはIL-6が関与することを明らかにすることができた。
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