研究課題/領域番号 |
17K07807
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
澤野 祥子 九州大学, 農学研究院, 特任講師 (60403979)
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研究分担者 |
水野谷 航 九州大学, 農学研究院, 助教 (20404056)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | RNA-Seq / レーザーマイクロダイセクション / 骨格筋 / 筋線維タイプ |
研究実績の概要 |
本研究は、「美味しさ」という感覚的な知覚を、食肉の筋線維タイプ毎の代謝物および発現遺伝子により、定量的に評価しようという試みである。食肉として利用される骨格筋には、4種の筋線維タイプが混在する。それぞれの筋線維タイプにどのような遺伝子がどの程度発現しているのかをRNA-Seqにより解析し、筋線維タイプの違いに伴う肉質の差異を明らかにすることを目指して検討を行っている。 本年度は、マウスを用いて、レーザーマイクロダイセクション・微量サンプルからのRNA-Seqを行い、最適条件を検討した。これまで筋線維タイプの識別には、我々が独自に開発した「ステンドグラス染色」のプロトコルを用いてきたが、本年度の検討において、固定時間やブロッキング時間、染色時間などの方法を改良することで、大幅な時間短縮が可能になった。その結果、レーザーマイクロダイセクションで回収した組織サンプルから、より高品質なRNAを得ることに成功した。また、これまでレーザーマイクロダイセクションでは、1回の実験で得られるサンプル量がわずかであり、RNA-Seq解析のために十分量のRNAが得られなかったが、1~数細胞程度の超微量サンプルからcDNAを調製可能な試薬を用いることで、ごくわずかのサンプルでもRNA-Seq解析を行うことができ、マウス骨格筋線維タイプの基礎データを蓄積することに成功した。 これらの成果を踏まえて最終年度では、食肉サンプルを用いて筋線維タイプと発現遺伝子との相関を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の大きな成果の一つとして4種類の筋線維タイプの微量サンプルを用いたRNA-Seqの成功が挙げられる。一連の手技を改良し、実験条件の大幅な改善ができたことが解析の成功につながったと考えられる。本年度の検討で得たノウハウを活かし、最終年度も実験計画を遂行していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、食肉サンプルを用いて筋線維タイプ毎のデータを得る予定である。食肉は、サンプルとして得られるまでの時間が実験動物よりも大分かかるため、サンプル自体の鮮度の劣化が課題となる。均一かつ高品質なサンプルが得られるよう実験条件を整えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度RNA-Seqの実験条件が整い、RNA-Seqの受託解析を行うため前倒し請求を行った。食肉サンプルについてもRNA-Seqを行う予定であったが、実験動物と比較して、食肉サンプルは品質管理が難しく、サンプルに劣化が認められ、本年度の時点でRNA-Seqを行うとデータにばらつきが生じると考えた。したがって、確実にデータを得るためにRNA-Seq解析は次年度に見送ることにした。次年度は、高品質な食肉サンプルを得るための条件検討を行い、良質なRNAを用いてRNA-Seq解析を行う予定である。
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