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2017 年度 実施状況報告書

赤ワインのおいしさと関係するタンパク質非結合性タンニンの解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K07812
研究機関山梨大学

研究代表者

奥田 徹  山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10252008)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードワイン / タンニン / ポリフェノール / おいしさ
研究実績の概要

ワイン中に存在するタンニンを,牛血清アルブミン(BSA)に結合するものとしないものに分割する方法を開発した。具体的には,ワイン試料にBSAを添加し,沈殿させた後,遠心分離により上清と沈殿を回収した。それぞれの画分をToyopearl HW-40やODSを充填した固相に吸着させた。これを50%メタノールで溶出することで,低分子ポリフェノール画分を得た。さらに67%アセトンで溶出することで,タンニン画分を溶出した。
これらの組成を確認するため,フォーリンシオカルト法でフェノール成分を,6N塩酸で加水分解後アミノ酸を測定することで,タンパク質を,フェノール硫酸法により中性糖類を,オルト-ヒドロキシジフェニル法により酸性糖を定量した。また,タンニン画分を,フロログルシノリシス法で加水分解し,ポリフェノール組成を調べたところ,エピカテキンやカテキンなどが検出され,タンニンが非沈殿性画分にも多量に含まれていることを確認できた。
また,予備的な試験の結果,タンニンにタンパク質が結合している可能性が示唆された。ワイン製造中にタンパク質が結合することで,タンパク質との結合性が低下している可能性も考えられる。このことは,BSA非沈殿性タンニンを含んだワインを飲んだ場合,口中で唾液タンパク質(Proline rich proteinと考えられている)との結合が起こらず,収斂味が惹起されないと予想される。このようなタンニンがワインの味にとってどういう意味を持つかが重要となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

市販ワインの分析を行ったところ,BSA溶液による沈殿が溶解しない場合が散見された。理由はよくわからないが,定量性に影響するため,超音波処理や,界面活性剤などの濃度などを変化させ,条件について検討を行った。その結果,ほとんどの沈殿が溶解すること,不溶性の物も,続くカラム処理で用いる50%メタノール等で可溶化でき,定量性に影響は少ないことが明らかになった。29年度は市販ワインを数十本分析する予定であったが,その実験を4月以降行っており,遅れは取り戻せると考えている。

今後の研究の推進方策

市販ワインの分析後,本来の予定通り,組成の分析を行う予定である。既に,予備的な試験を行っているが,タンパク質量に差があるようで,興味が持たれる。すなわち,ワイン製造時に,ブドウ由来,あるいは酵母由来のタンパク質が,予めタンニンに結合することで,BSAへの結合性が失われることが考えられる。今後は,タンパク質の性質についても検討したい。また,沈殿に用いるBSAがどの程度タンニンに結合しているのかも分析した観点である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Understanding composition of white wine lees during vinification2018

    • 著者名/発表者名
      Tohru OKUDA, Guangxian LIANG, Masaru GOZU, Fumie SAITO-WATANABE, Masashi HISAMOTO
    • 学会等名
      American Society for Enology and Viticulture
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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