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2017 年度 実施状況報告書

豆乳はどこまで濃縮できるのか-タンパク質間相互作用の制御に向けて-

研究課題

研究課題/領域番号 17K07821
研究機関静岡県立大学

研究代表者

下山田 真  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (60235695)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードsoymilk / evaporation / viscosity / concentration
研究実績の概要

豆乳は一般的には濃縮によって粘度が上昇し、やがて流動性を失うものと考えられており、これまで濃縮についてはあまり検討されてこなかった。しかしながら濃縮のメリットを考慮すると豆乳をどこまで濃縮できるのかについて検討することは重要なことと考えられた。そこで、豆乳を減圧下にて蒸発濃縮し、粘度と濃縮度の関係を明らかにすることを試みた。
本年は、国産大豆および輸入大豆を用いた2種類の市販無調整豆乳を試料とし、エバポレーターを用いて蒸発濃縮を行った。また濃縮条件として豆乳を加熱する湯浴の温度を3つに変化させて、各々の影響について解析することとした。
その結果、固形分濃度の上昇とともに豆乳の粘度に指数関数的な上昇がみられた。そこで、粘度の常用対数に対してプロットし直してみると、2つの豆乳ともに粘度上昇は2本の直線で表すことが可能であった。さらにエバポレーターの湯浴温度を55℃から65℃、75℃と上昇させると低濃度側の回帰直線は温度に依存せずほぼ同様であったのに対して高濃度側の回帰直線は温度の上昇とともに上方へ移動することが分かった。つまり豆乳を濃縮した際の粘度変化は単純に指数関数的な上昇を示すのではなくて、2段階の挙動を経て変化することが明らかとなった。また品種や温度条件によって2本の回帰直線の交点の位置は影響を受けることが示された。今回用いた豆乳試料の場合、55℃の比較的低温の蒸発濃縮条件下で固形分濃度25%程度までは濃縮可能であることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

濃縮時の粘度上昇を市販豆乳を用いて測定することができ、濃縮可能な濃度を見積もることができた。粘度上昇については指数的な変化を予測し、粘度の対数をプロットしたところ、実際には2本の回帰直線で表せることを見出すことができた。この関係から濃縮に伴った粘度上昇は少なくとも2つの段階からなっていることがわかり、産業利用上も有用な情報を得ることができた。さらにこうした濃度変化のメカニズムを解析することが重要と考えられる。

今後の研究の推進方策

濃縮時の粘度上昇が2つの段階からなることが示されたので、それぞれの意味を主にタンパク質間の相互用の面から明らかにする必要があるものと考えている。さらに、異なる豆乳試料として実験室で調製した未加熱豆乳を用いて濃縮時の粘度上昇を測定、比較する。これらの知見よりタンパク質の変性と濃縮時の粘度変化の関係についても検討し、タンパク質の変性挙動を介した粘度制御について知見を得ることを意図する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 市販の無調整豆乳を加熱濃縮した際の固形分濃度と粘度の関係2017

    • 著者名/発表者名
      石山明、増田勇人、下山田真
    • 学会等名
      日本食品科学工学会第64回大会(藤沢)

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公開日: 2018-12-17  

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