倒木などの枯死木によって維持される炭素蓄積量と生物多様性の間のコベネフィット関係,すなわち,どちらかが増加すると片方も増加するという関係は,同じ森林タイプの中では認められたものの,単木レベルや湿地林やフタバガキ林といった様々なタイプの森林が含まれる地域レベルでは認められなかった。森林タイプが異なると,菌類や昆虫といった枯死木依存性生物の種類そのものが大きく異なることも示されたことから,地域の生物多様性を維持するという観点からみると,複数の森林タイプが存在することが非常に重要であることが示された。本研究の成果は,気候変動と多様性の喪失に対応した森林管理を考えるうえで有益である。
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