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2017 年度 実施状況報告書

食物資源をとおした腐肉食性昆虫の競争排除を利用したマングース生息数の推定

研究課題

研究課題/領域番号 17K07864
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

上田 明良  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90353599)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード競争排除 / マングース / ネパールモンシデムシ / 絶滅 / 吊り下げ式トラップ / 沖縄島 / 奄美大島
研究実績の概要

考案した吊り下げ式のネパールモンシデムシ捕獲トラップがマングースによる攪乱を免れるかを確かめるため、9月21日にマングースが高密度に生息する沖縄県農業研究センター名護支所内の森林にトラップ2器を設置した。また、トラップ周辺でのマングースの生息確認のため、トラップ近くにセンサーカメラを設置した。10月10日と11月13日にベイト(サバ切り身)を交換し、トラップが無事であることを確認した。また、マングースが撮影されていた。
次に、沖縄県国頭村から沖縄市にかけての24カ所に調査地を設定し、各調査地に考案したトラップを2器ずつ、計48器設置した。特に、大宜味村のマングース防護柵以北に高密度に設置した。ネパールモンシデムシの活動期は、冬をはさんだ10-6月であることから、11月13-16日に設置を行い、1月18-20日と3月15-20日に捕獲虫の回収とベイトの交換を行った。その結果、ネパールモンシデムシは、マングース防護柵以北で集中して捕獲され、以南では柵により近い4カ所でわずかな捕獲があっただけで、それらより南では全く捕獲されなかった。また、これら4カ所の近辺では、近年マングースの捕獲が行われ始めていた。マングース防護柵以北の大国林道沿いでは、柵からの距離に従って捕獲数が正相関した。これは、近年までのマングース生息密度を反映していると考えられた。これらのことから、ネパールモンシデムシの生息は、マングースの影響を明確に受けていることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題の「ネパールモンシデムシがマングースとの競争で、繁殖資源(小動物死骸)を奪われ、地域絶滅している。」という仮設について、トラップによるネパールモンシデムシ捕獲調査を行い、ネパールモンシデムシの生息は、マングースの影響を明確に受けていることを明らかにした。そのうえ、その捕獲数はマングース北上防止柵からの距離に従って正相関することも判明した。これは、当初の予測を上回る明確な結果であった。ただし、3月に行う予定であったネパールモンシデムシとマングースの競争関係を明らかにするための観察が、次年度の4月にずれ込んだ(実施済み)ため、「おおむね順調」とした。

今後の研究の推進方策

平成30年度は、5月中旬まで沖縄島でのトラップ捕獲を継続するとともに、4月にネパールモンシデムシとマングースの競争関係を明らかにする観察を、センサーカメラ等を用いて行う。また、奄美大島において、沖縄島と同様の調査を10月以降に開始する。
平成31年度は、奄美大島での調査を継続する。また、ネパールモンシデムシの捕獲数からマングースの生息密度を推定するモデルを開発するとともに、モデルを実証するためのトラップ捕獲を沖縄島で行う。

次年度使用額が生じた理由

3月に沖縄島において、延べ12日間行う予定であったネパールモンシデムシとマングースの競争関係を明らかにするための観察が、翌年度の4月にずれ込んだため、その分の旅費およびレンタカー費用等が残った。これらを4月に実施することで、残額を使用する。翌年度の助成金は、計画どおり沖縄島での継続調査と奄美大島での調査、標本の整理等を行う非常勤職員の雇用、標本箱等の消耗品、および学会発表にかかる費用に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] やんばるでの森林施業が腐肉食性甲虫群集に与える影響2018

    • 著者名/発表者名
      上田明良
    • 学会等名
      日本応用動物昆虫学会

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公開日: 2018-12-17  

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