40年以上施肥が継続されているウダイカンバ林とトドマツ林で、窒素過剰が樹体と土壌の養分状態におよぼす影響を調査した。施肥によって付加されたN、P、Kの葉中濃度は施肥2年目には高まったが、5年目以降は差が不明瞭となった。葉のMg濃度は施肥区で5年目以降から低下傾向を示し、葉のAl、Mn濃度は2年目以降に高まった。無施肥区に比べて施肥区は表層土壌の交換性CaとMgが低く、交換性Alは高かった。長期間の施肥により樹体と土壌の養分状態は変化したが、樹体の成長は低下しなかった。葉の窒素安定同位体比の分析から、ウダイカンバとトドマツは窒素利用様式が異なり、トドマツの方が肥料に依存していると考えられた。
|