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2019 年度 実施状況報告書

低エネルギーで真に実用可能な結晶セルロースの加水分解法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K07871
研究機関北見工業大学

研究代表者

服部 和幸  北見工業大学, 工学部, 准教授 (20333669)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードセルロース溶液 / セルロース / セルロース溶媒 / 非晶セルロース / 結晶化 / 重水素交換
研究実績の概要

特異な非晶セルロースの高次構造の解析
前年度までに、市販の微結晶セルロースや、針葉樹・広葉樹パルプ、再生紙由来のセルロースをエチレンジアミンとチオシアン酸ナトリウムの混合物に溶解し、それらの溶液に非水系の有機溶媒を添加することで、水中でも安定な非結晶のセルロースが調製できることを示し、この手法で調製した非晶セルロースの加水分解性を、従来法で得た非晶セルロースや天然セルロースと比較することを検討してきた。当該年度は、本研究の手法で得られる非晶セルロースが加水分解を受け易い理由として水素結合の割合が結晶セルロースと異なるためと予想し、これを実証することを試みた。当該研究で得た非晶セルロースを重水に含浸し、凍結乾燥した後、赤外吸収スペクトルを測定したところ、3400カイザー付近のOH伸縮振動が著しく減少し、新たに2525カイザーにOD伸縮振動に由来する吸収が現れた。これは、この非晶セルロースの水酸基のプロトンが、重水によって重水素と交換されたことを示している。同様の操作を天然セルロースでも行い結果を比較したところ、天然セルロースではODの吸収は非晶セルロースよりも小さかった。すなわち、本研究の非晶セルロースは、天然セルロースよりも水素結合の割合が低いことが示された。また、この非晶セルロースの固体NMRを測定し、セルロース分子の運動性について検討した。これらの成果の一部を、2019年4月に開催された第257回アメリカ化学会春季年会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画では、当該年度に固体NMRを使用して非晶セルロースの運動性・分解性を解析する予定であったが、この手法は装置の高度な操作技術を必要とし、その習得に想定以上に時間が掛かり、測定・分析に時間を要したため。

今後の研究の推進方策

近年、固体NMRを用いてプロトンの縦緩和時間を成分ごとに分離できる二次元手法から、固体非晶部の構造が調べられている。この手法は、ポリオレフィンなどの合成高分子では実績があり、非晶部の割合や運動性についての報告がある。これをセルロース試料にも適用できれば、非晶部と結晶部で運動性の違いに起因する緩和時間の違いから、非晶部と結晶部の分布やその割合の情報が得られるはずである。分子の運動性は加水分解性と密接に関係することから、加水分解の受け易さの理由の合理的な解明を推進する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Synthesis of a Star-Shaped Poly(ε-caprolactone) with a Cyclodextrin Core2019

    • 著者名/発表者名
      Kazuyuki Hattori and Mizuho Ohira
    • 雑誌名

      Current Trends in Polymer Science

      巻: 19 ページ: 51-58

    • 査読あり
  • [学会発表] Determination of Molecular Weight of Cellulose by Diffusion-Ordered NMR Spectroscopy2019

    • 著者名/発表者名
      Kazuyuki Hattori and Arisa Arai
    • 学会等名
      The 257th ACS National Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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