研究課題
1.シナアブラギリ油脂からのBDFの合成:シナアブラギリから合成したBDFはヨウ素値が120以上であったためJIS規格に適合しなかった。そのためヨウ素値を下げるために、シナアブラ油脂に家庭廃油をブレンドし、BDFの合成を行った。シナアブラギリ油脂と家庭廃油のブレンド比は3:7か、それ以上に家庭廃油が多い場合に、ヨウ素値は120以下となり、JIS規格を満たすことが示された。2.シナアブラギリ油脂の木材塗料への利用:木材塗料としての利用方法を検討するため、木材片(アカマツ、ヒノキの二種類)にシナアブラギリ油脂、水性ニス、クリアラッカーを塗布し、色差計を用いてlabの測定を行った。シナアブラギリ油脂を塗る前と塗った後の色調の差はアカマツでΔ3.83、ヒノキでΔ13.2になった。このヒノキの値は他の塗料に比べても差が大きくなった。これは、アカマツは年輪が多く暗い色で、ヒノキは年輪が少なく明るい色であったことが原因であると考えられる。3.シナアブラギリに含まれる抗酸化物質の単離・同定:シナアブラギリ搾油カスは、ソックスレー抽出器を用いて酢酸エチルとメタノールにより抽出した後、二層分配を行い、酢酸エチル抽出物有機層画分・水層画分とメタノール抽出物有機層画分・水層画分を得た。この4画分のうちメタノール抽出物有機層画分に比較的強い抗酸化活性が認められた。この画分を各種クロマトグラフィーにより分離・精製した結果、isoamericanol Aなどのカテコール構造を有する8種類のリグナン・ネオリグナン類を単離・同定した。4.シナアブラギリ種子を外果皮、内果皮、胚乳に分離し、カテコール型リグナン・ネオリグナン類の定量分析を行った結果、内果皮において特異的にカテコール型リグナン・ネオリグナン類が含まれていることを示した。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに研究は進んでいる。
1. 抗酸化物質の利用方法の検討(1)抗酸化物質の構造活性相関:単離・同定した抗酸化物質は、メチル化、アセチル化等を行って水酸基を保護し、抗酸化活性試験を行う。抗酸化物質の官能基と抗酸化能について構造活性相関を評価する。さらに、抗酸化物質と安定ラジカルであるDPPHを反応させた後にNMRを測定し、抗酸化物質がラジカルを消去する際の化学構造の変化を明らかにする。(2)油脂酸化の防止剤:単離・同定した抗酸化物質や誘導体化した物質をシナアブラギリBDFに添加し、小型エンジン、発電機を用いて燃焼実験を行う。排ガス中の炭化水素、窒素酸化物等を測定し、抗酸化物質の油脂安定性に対する評価を行い、BDFの安定化剤としての利用方法を評価する。2.ホルボールエステル類の利用方法の検討(1)ホルボールエステル類の定量実験:単離・同定したホルボールエステル類についてHPLCによる定量方法を確立し、種子、植物体、殻などに含まれる含有量を測定する。また、地域や栽培条件によって含有量に変化があるのかについても検討を行う。(2)発ガンプロモーター活性試験:シナアブラギリから単離・同定したホルボールエステル類についてマウス繊維芽細胞由来のBALB/c 3T3細胞を用いた発ガンプロモーター試験を行い、これまで報告されているホルボールエステル類の活性と比較を行う。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)
Asian Journal of Cell Biology
巻: 14 (1) ページ: 1-6
10.3923/ajcb.2019.1.6
Journal of the Forest Biomass Utilization Sociyet
巻: 13 (2) ページ: 47-51