研究課題/領域番号 |
17K07881
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
廣瀬 孝 弘前大学, 教育学部, 講師 (40556982)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 活性炭 |
研究実績の概要 |
本研究では,1)脱薬品賦活による新たなメソ孔活性炭の製造方法の確立,2)コンデンサの性能に影響を及ぼすミクロ孔およびメソ孔の比率や細孔分布に関する新たな知見を得ることを目的としている。 代表者らは「枝」を原料とすることでメソ孔活性炭の調製に成功した。これは,賦活時の微量元素による触媒効果によってガス化反応が促進する等,微量元素がメソ孔の発現に大きく寄与したためと考えられ,新たなメソ孔活性炭の製造方法となる可能性を見出した。しかし,電気二重層コンデンサ等電気素子に用いる場合,物性にばらつきの少ない活性炭の製造が必要であり、平成29年度はその再現性の評価を行った。その結果,異なる2つの年度の剪定枝より調製した活性炭の時間と比表面積、ミクロ孔容積、メソ孔容積は時間が長くなるにしたがって直線的に大きくなることが分かった。また異なる2つの年度で得られた活性炭の比表面積等はほぼ同様の値を示すことが分かった。 平成30年度は,リンゴ剪定枝を原料としたペレットから作製した活性炭を用いて電気二重層キャパシタ用活性炭を作製,市販活性炭と比較検討した結果,キャパシタ用活性炭の比表面積,ミクロ孔容積およびメソ孔容積は,収率が低くなるに従って大きくなる傾向があり,それぞれの決定係数は高い値を示した。 また,ミクロ孔分布およびメソ孔分布は,収率の違いにより,その分布のピーク値が大きい細孔側にシフトすることが分かった。コンデンサ用活性炭において0.7nm前後のミクロ孔が静電容量の初期値を高める可能性を有することが分かった。 更に耐久性試験の結果,静電容量および内部抵抗は比較品と同等の性能を有することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 平成30年度は,リンゴ剪定枝を原料としたペレットから作製した活性炭を用いて電気二重層キャパシタ用活性炭を作製,市販活性炭と比較検討することが目的であった。 結果として,リンゴ剪定枝から市販活性炭と同等の性能を有する電気二重層コンデンサ用活性炭の調製方法を見出すことができた。 以上,当初の計画通りに研究を遂行できており、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度はおおむね順調に推移したことから,今後も計画通りに推進する方策である。 具体的には,平成30年度に得られた結果を基に,市販活性炭よりも静電容量が大きく、内部抵抗が小さくなる電気二重層向け活性炭の調製方法を見出すことおよびコンデンサの性能に影響を及ぼすミクロ孔およびメソ孔の比率や細孔分布に関する新たな知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:連携先との打ち合わせのためが不必要となったため。 使用計画:連携先との打ち合わせのために使用予定。
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