| 研究課題/領域番号 |
17K07884
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| 研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
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研究代表者 |
小林 正彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00397530)
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| 研究分担者 |
片岡 厚 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353639)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 木材・プラスチック複合材（WPC) / 光劣化 / ラジカル / 電子スピン共鳴（ESR) |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、木粉とプラスチックそれぞれから発生するラジカルが、木材・プラスチック複合材（WPC）の耐候性に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。
屋外環境におけるWPCの劣化挙動に関する詳細な知見を得るために、木粉の質量割合（木粉含有率）の異なるWPC（木粉含有率：20%、30%、40%、50%、60%）の屋外暴露試験（6か月（つくば市、南面45度））を行い、試験過程における変色と表層崩壊の程度を評価した。変色を測色、紫外可視分光分析、デジタルマイクロスコープ観察により評価した結果、木粉含有率が30%以上のWPCは暴露開始後1か月で大きく変色するが、木粉含有率を20%以下とすることで、変色を抑制できることが判明した。なお、木材の変色は木粉含有率20%のWPCより小さく、プラスチック（ポリプロピレン：PP）の変色は認められなかった。表層崩壊の程度を表面粗さ測定およびクロッキング試験により評価した結果、木粉含有率が高いWPCほど、表層が崩壊し表面に凹凸を生じることが判明した。
WPCの木粉含有率がラジカル発生量に及ぼす影響についての知見を得るために、木粉含有率が20%、40%、60%のWPCのESR測定を行った。測定は縦3㎜×横3㎜×高さ20㎜の四角柱の試験片の側面一面に紫外線を照射しながら15分間行った。その結果、WPCからのラジカル発生量は、木材からのラジカル発生量より多いことがわかった。また、木粉含有率が低いほど、すなわちWPC中のPPの質量割合が高いほど、木粉からのラジカルの発生量が大きくなる傾向が認められた。以上の結果から、紫外線照射時のWPC表層の光劣化は、主として木粉から発生するラジカルにより進行するが、PPから発生するラジカルにより促進される可能性が考えられる。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、WPCの屋外暴露試験を行い、変色、および表層崩壊の程度を木材試験片およびPP試験片と比較した。変色は色差計による測色と紫外可視分光光度計およびデジタルマイクロスコープを用いた顕微鏡観察により評価した。表層崩壊の程度は表面粗さ測定およびクロッキング試験により評価した。屋外暴露試験の結果および促進耐候性試験の結果（前年度前倒しで実施）と、WPC、木材、PPのESR測定の結果と照らし合わせることにより、木粉およびプラスチックから発生するラジカルがWPCの光劣化挙動に及ぼす影響を明らかにした。研究計画通りに目標を達成したことから、おおむね順調に進展しているとした。
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| 今後の研究の推進方策 |
次年度は、木材主要成分（セルロース、ヘミセルロース、リグニン）のうちどの成分がどの程度、WPCの光劣化に寄与するかについて明らかにするために、セルロース、ヘミセルロース、リグニンのモデル化合物とプラスチックを加熱混練することで3種の複合材を製造し、ESR測定によりそれぞれの複合材から発生するラジカル種の同定とラジカル発生量の定量を行い、本年度得られたWPCの測定結果と比較する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
おおむね予定通りに予算を使用したが、外部機関への依頼分析に係る費用が予定より少なく、次年度使用額が生じた。次年度は木材の主成分（セルロース・ヘミセルロース・リグニン）のモデル化合物とプラスチックの複合材料のESR分析を外部機関へ依頼する予定であり、次年度使用額は分析条件の検討に使用する予定である。
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