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2018 年度 実施状況報告書

鉄イオンと複合沈殿するリグノスルホン酸の糖化触媒としての機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07885
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

菱山 正二郎  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00353821)

研究分担者 久保 智史  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50399375)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードリグノスルホン酸 / 木粉 / 加水分解
研究実績の概要

リグノスルホン酸(LSA)による木粉の加水分解では、加水分解温度を150℃とすることで、6時間の処理時間でスギおよびシラカバ脱脂木粉の分解率がそれぞれ24.8 %および43.9 %に達した。木粉中のクラソンリグニンがスギ、シラカバでそれぞれ、35.4%および21.0%であった。したがって、LSAによる加水分解により木粉中のリグニンが可溶化されることが無いと仮定すると、スギおよびシラカバ木粉の多糖成分の38.4 %および55.6 %がLSAにより加水分解されたことになる。スギ、シラカバから調製したホロセルロースのLSAによる同条件下での加水分解率はそれぞれ37.7 %および45.7 %であり、上記木粉中の多糖成分の加水分解率よりも低く、脱リグニンにより加水分解収率が低下することが明らかになった。加水分解残渣のFT-IR分析では、カルボニルに由来する吸収バンドが、加水分解を行うことで大きく減少した。また、X線回折の結果からは、加水分解を行うことで、木粉中のセルロース結晶のピークが明確になる傾向が見られた。これは加水分解により非晶質のヘミセルロース画分が取り除かれたことによると考えられる。これらヘミセルロースとセルロースの加水分解速度の違いは、前年度のモデル実験と同様の傾向であった。次に、加水分解後に鉄イオンを加えることでLSAの除去を試みた。精製・イオン交換前のリグノスルホン酸は鉄イオンを加えることで沈殿したが、LSAでは沈殿物が得られなかった。当初計画では想定していなかったことであり、その原因については現在検討中である。鉄イオンによるLSAの除去に代わる方法として、加水分解後の懸濁液を加熱することで系中のLSAを硬化沈殿させる方法を試みた。現状180℃以上に加熱することで、LSAが沈殿物として糖液と分離できることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に沿ってLSAによる木粉の加水分解を行い、リグニンの存在が加水分解速度に影響を与えることを明らかにした。また、前年度のモデル実験の加水分解の結果を受けて、今年度は木粉の加水分解残渣の分析から、木材構成多糖間に加水分解速度の差があることを明らかにした。加水分解後のLSAの除去に関しては当初計画の想定とは異なる結果となったが、代替法による除去の可能性を示すことができた。以上のことから、「おおむね順調に進展している。」とした。

今後の研究の推進方策

加水分解後のLSAの除去に関して、当初の想定とは異なる結果があられている。この原因を明らかにし、鉄イオンによるLSAの除去に関する再検討を行う。また、それと同時に今年度に明らかにしたLSA除去に関わる代替法の可能性を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

海外メーカー製試薬購入の際、代理店より納期に長期間を要するとの連絡が入りやむなくキャンセルした。次年度購入予定。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] リグノスルホン酸による木粉の酸加水分解2019

    • 著者名/発表者名
      菱山正二郎、久保智史、戸川英二、橋田光、池田努、眞柄謙吾
    • 学会等名
      日本木材学会
  • [学会発表] 酸触媒としてのリグノスルホン酸の特性2018

    • 著者名/発表者名
      菱山正二郎、久保智史、橋田光、池田努、眞柄謙吾
    • 学会等名
      紙パルプ研究発表会
  • [学会発表] リグノスルホン酸の酸糖化触媒としての特性2018

    • 著者名/発表者名
      菱山正二郎、久保智史、橋田光、池田努、眞柄謙吾
    • 学会等名
      リグニン討論会

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公開日: 2019-12-27  

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