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本研究では有毒プランクトンの一種であるDinophysis属を研究対象とし、DNAを用いた解析によってその餌の正体を種レベルで特定し、海洋生態系においてこれまで知られていなかった微生物食物連鎖の一端を明らかにする。それらを考慮した上で、有毒プランクトンの発生メカニズムを解明し、水産養殖業にとって重要な二枚貝類の毒化を未然に防ぐことを研究の最終的な目的としている。本研究で得た成果を下記にまとめた。
・Dinophysis rotundataおよびDinophysis mitraの餌料生物をDNA解析により明らかにした。
・開発を終えたDinophysis属を対象にした餌料解析手法を他の渦鞭毛藻に適用した。従属栄養性渦鞭毛藻である夜光虫Noctilucaを対象にし、制限酵素処理法およびblocking primer法の2種類の手法をNoctilucaに合うよう再設計した。
・上記の両手法を用いて、これまでほとんど知られていなかった夜光虫の餌生物を遺伝子解析により種レベルで明らかにした。夜光虫は特定の餌を補食しているわけではなく、周囲の環境中に存在しているプランクトンを非選択的に取り込んでいることが判明した。
・本研究で開発したDNA解析手法を応用し、さらに別の有毒プランクトンに適用した。その結果、麻痺性貝毒原因プランクトンのAlexandrium属において、その細胞内に寄生生物が存在していることが判明し、その寄生生物の種を特定することに成功した。この寄生生物種は、ホストであるAlexandrium属を殺滅することがフラスコ内の実験で明らかになり、解析を継続している。
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