研究実績の概要 |
本研究の目的は、海洋細菌と微細藻類に着目し、海洋における難分解性溶存有機物の一種と考えられている腐植様の蛍光溶存有機物 (FDOM) の微生物学的生成・分解過程を評価することである。 H29年度は、これまで行った沿岸域での培養実験の結果をまとめ、国際誌へ投稿し、受理された。また、異動先の研究機関において、沿岸性の微細藻類株3種(Thalassiosira weissflogii, Thalassiosira pseudonana, Heterocapsa triquetra)、および外洋性の株6種(Thalassiosira oceanica, Pelagomonas calceolate, Synechococcus sp., Prochlorococcus marinus, Emiliania huxleyi, Pycnococcus provasolii)に対する培養環境の確立を行った。この結果、P. marinus以外の株については正常な生育が確認できた。これらの培養株のうち、T. pseudonana, T. oceanica, Synechococcus sp., E. huxleyの培養液を遠心し、集藻した。その後、細胞ペレットを超純水で洗浄し、凍結融解およびビーズビーターを用いて細胞破砕を行った。破砕後、細胞破片を遠心によって除去し、上清を微細藻類由来の溶存態有機物とした。 当初の予定では、昨年度中に、これらの溶存態有機物の遊離態・ペプチド態アミノ酸解析およびFDOM解析を行う予定であったが、申請者の所属異動があり、試料取得の段階までしか進めることができなかった。 また、微生物培養株(Thalassotalea agarivoransおよびNereida ignava)を取得したが、これらを用いた溶存有機物分解実験までは進めることができなかった。
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