研究課題/領域番号 |
17K07901
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
庄子 晶子 北海道大学, 水産科学研究院, 特別研究員(PD) (30792080)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 海鳥 / 物質輸送 / 水銀 / 安定同位体比分析 / バイオロギング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、海鳥類を介した汚染物質輸送が陸上生態系に及ぼす影響を評価することである。海洋生態系の高次捕食者である海鳥類は、高濃度に汚染物質を蓄積していることで知られている。そして、体内に蓄積した汚染物質を繁殖行動(自身と子への餌獲得のために餌場である海域と繁殖地を往復する)や渡り行動 (繁殖地~越冬海域の長距離移動)を通じて海域から陸上へ輸送している。海鳥類は特に移動性が高く、長距離輸送をしている可能性が指摘されているが、これに関する知見や情報が乏しいため、どの海域からどの経路で汚染物質が陸上に持ち込まれているかは不明のままである。 2018年度は5月末から6月上旬にかけては北海道天売島で、5月末から8月上旬にかけてはアラスカ州ミドルトン島で野外調査を実施した。 それぞれの島で繁殖するウミスズメ科鳥類のウトウにジオロケーター(小型位置記録計)を装着および回収して放鳥し、ジオロケーターを装着しない個体から安定同位体比分析用と汚染物質濃度分析用の血液、羽根、糞のサンプルを採取した。化学分析およびジオロケーターデータの解析は順調に勧められた。 その結果、利用した越冬海域によってウトウの羽根中の汚染物質濃度が異なるが、汚染物質蓄積濃度は天売個体とアラスカ個体では同程度であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
天売島でのジオロケーターの回収は繁殖状況が悪かったことから予想よりも低かったが、アラスカ側では期待通りに回収できた。一方、化学分析は予定通り順調に実施することができ、完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、ジオロケーターの回収を両調査地で実施するとともに、物質輸送経路をさらに詳細に調べるため、海鳥の餌を採取・化学分析を実施する。本年度はとりまとめの年となるため、関連学会で結果を発表するとともに学術誌に論文を投稿することで成果発表とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に予定していたアラスカ現地調査のうち一部が2019年度に実施することとなった。 そのため、予算を次年度に繰越して使用する。
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