研究課題/領域番号 |
17K07903
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
石村 学志 岩手大学, 農学部, 准教授 (50524815)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 震災復興 / 漁業者行動 / 漁場分析 |
研究実績の概要 |
本年度の目的と研究実施計画は、1) 研究対象漁業からデータを入手し、2)分析用データフレームの作成とアップデート、3)限定的なデータセットでの時系列漁獲・魚価データにおける震災影響と再建施策効果の影響の分析と漁場確定・評価分析でにあった。加え、現地での本研究課題に対する2回の説明会を行うことにあった。 本年度はまず分析の基盤となるデータフレーム作成に注力し、時系列分析や空間分析の応用展開を可能にする データフレームを作成した。時系列データセットのための時系列データ型への変換、また、空間分析のためのラスターデータ型への変換を可能とするデータフレームを得た。現在、アップデートデータの追加と、さらにデータのtidy化による分析可能性・(とくに漁業者への説明を念頭においた)可視化可能性の拡大を目指している。 限定的データセットにおける分析では、震災ショックによる価格の負の影響を有意に確認することができた、その一方、施策効果(集団操業、水揚げ隻数制限)については、段階的な試行であったため、さらに分析手法の検討が必要であることが明らかなった。限定的データセットにおける漁場確定と評価では、操業地点情報を用いたクラスター分析による漁場確定が可能だということを確認した。ここから漁獲データの魚種・漁獲量・価格データを統合したラスターデータの生成を行ってゆく。 本年度、2回の現地での研究会開催を目指していたが3月に起こった遭難事故により開催予定を行うこできなかった。引き続き漁業者からのフィードバックを得るために研究会開催を検討してゆく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)データフレームの作成:データフレームの基盤形成が達成されて、アップデート及びより柔軟にデータ分析や可視化することのできるtidy化への展開を進められるようになった。 2)限定的なデータセットでの時系列漁獲・魚価データ:時系列データについては問題点の把握が可能となり、さらに研究を進める方向性を明確にすることができた。 3)研究ワークショップ:遭難事故のため一回のキャンセルを余儀なくされたが、5月末にすでにリスケジュールすることで、研究を進めるためのフィードバックを得てゆき研究には影響はでていない。
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今後の研究の推進方策 |
(課題1)漁獲・魚価データによる震災影響と再建施策効果の時系列計量経済分析:では引き続き、データフレームの拡充と充実を行ってゆく。その一方時系列分析については、復興施施策影響を定量化する手法の再検討を、まず行った上で分析を進めてゆく。 (課題2)操業位置・漁獲魚種組成クラスター分析による漁場確定と市場・操業データ統合による漁場評価:では漁場確定のためのクラスター手法を操業位置のみで行うべきか検討を進めた上で、漁業者からの漁場確定の暫定結果にフィードバックを得ながら、ラスターデータへの変換を進めてゆく。 (課題3)漁場ポートフォリオの空間生物経済漁業モデル展開と確率シミュレーション:では、漁場距離の算出方法の確定と、シミュレーションのための各魚種価格の確率分布などの検討を行ってゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
遭難事故のため一回の研究ワークショップのための訪問のキャンセルを余儀なくされたが、5月末にすでにリスケジュールすることで、差額の余った予算はその訪問に使用することを計画している。
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