研究課題
令和元年度は,有節サンゴモ2種について,生育適温,生育上限温度,生育適光量を明らかにした。生育適温実験は,水温10~35℃の6段階で,2週間培養を行った。日間相対成長率は,エチゴカニノテでは,25℃が他の温度区より有意に高かった。ピリヒバでは,20℃が最も高くなったが,20~30℃の成長率に有意差は見られなかった。そこで,生育適温は,エチゴカニノテは25℃,ピリヒバは20~30℃と推定した。次に,生育上限温度実験は,30,31,32,33,34,35℃で,12日間培養を行った。成長が見られない個体が50%以上となる温度を致死温度とした。その結果,生育上限温度は,エチゴカニノテが33℃,ピリヒバが31℃となった。エチゴカニノテとピリヒバの成熟時期は,それぞれ夏と,秋から冬であり,上限温度もエチゴカニノテの方が高いが,この2種の生育適温や高温耐性には,成熟時期以外の要因も関係していると思われる。生育適光量実験では,光量5~400 umol/m2/sの7段階で,2週間培養を行った。日間相対成長率と光量の関係を曲線近似したところ,エチゴカニノテでは,飽和光量117 umol photon/m2/sと推定され,この光量以上では強光阻害が見られた。ピリヒバでは,14.1 umol photon/m2/sと推定されたが,日間相対成長率は400 umol photon/m2/sで最も高く,強光阻害は見られなかった。生育適光量を,最大成長率の80%以上となる光量とし,エチゴカニノテでは,50~200 umol photon/m2/s,ピリヒバでは,50-400 umol photon/m2/sと推定した。ピリヒバでは強光阻害が見られず,エチゴカニノテより強光に適応していた。生育場所が,エチゴカニノテが漸深帯上部,ピリヒバが潮間帯から低潮線付近であることを反映していると考えられる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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