研究課題/領域番号 |
17K07914
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
瀧尾 進 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 教授 (60188109)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 付着細菌 / インドール酢酸 / Neptunomonas / Pyropia yezoensis / Zostera marina |
研究実績の概要 |
紅藻スサビノリ葉状体のTU-1株には8種以上の細菌が付着している。TU-1株から分離した付着細菌Neptunomonas sp. BPy-1は薬剤処理した葉状体の成長を部分的に回復した。その後、八代海の海草アマモの葉から分離したBPy-1類縁菌(Neptunomonas sp. BZm-1)も、薬剤処理のスサビノリ葉状体にたいして同様の効果をもつことがわかった。これらの細菌は富栄養培地で培養すると植物ホルモンのオーキシン(IAA)を合成することがわかった。葉状体は人工海水中で継代維持されているが、人工海水には炭素源が含まれていないので、付着細菌は葉状体から炭素源を供給されながら葉状体とともに生存していると考えられる。海藻や海草の付着細菌におけるIAA合成機構を明らかにするために、今年度は、人工海水を基本培地として、2種細菌のIAA合成における至適条件を検索した。BPy-1とBZm-1はそれぞれ単独では人工海水中では増殖できないが、培養液にブドウ糖を加えると増殖でできた。しかし、ブドウ糖の有無にかかわらず培養液中にはIAAは検出されなかった。しかし、培養液にブドウ糖と共にトリプトファンを添加すると細菌の増殖に伴い培養液中にIAAが蓄積した。また、ブドウ糖を含まない人工海水に細菌を高密度に懸濁すると、細菌は増殖できないが、培養液にトリプトファンを添加すると、懸濁時間に伴い培地中にIAAが蓄積された。これらの結果から、両細菌は貧栄養状態でもトリプトファンを供給されるとIAAを分泌する能力をもつことがわかった。この特性は貧栄養な天然海水中に生育する植物の付着細菌の特性を反映していると推定された。これらの成果を国際誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ノリの葉状体の状態が不安定な時があり、この問題を再度検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画ではIAA合成経路の遺伝子に着目していたが、オーキシン輸送体については考えていなかったが、IAA合成系とともにIAA輸送体についての情報を整理する必要があり、ノリゲノムや付着細菌におけるオーキシン輸送体と阻害剤に関する情報整理し、ノリと付着菌の相互作用をIAA合成経路と共に両者の輸送体の観点から調べる。
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