研究課題/領域番号 |
17K07916
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
三橋 廷央 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (30623954)
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研究分担者 |
安樂 和彦 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (50274840)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 底びき網 / コッドエンド / 網目選択性 / 網目展開 / 水中カメラ観察 |
研究実績の概要 |
2018年5~6月に鹿児島県甑島列島沖の東シナ海で、水中分光放射照度計測システムと水中カメラを海面から水深200mまで垂下し、水中照度の測定と開発した水中カメラの撮影限界水深を検討した。このカメラは、ISOとシャッタースピードの最適組み合わせにより、4Kまたはフルハイビジョン画質で、水深約150mまで無照明で、レンズから3-4m先の長さ50cmの白布地の鮮明な映像を得ることができた。このカメラを練習船の底びき網の網口やコッドエンドに装着し、東シナ海陸棚漁場で通常の実習操業を行い、曳網中の網成りや網に遭遇した生物の反応行動の映像記録に最適なISO等の設定値を検討中である。 練習船の底びき網身網部の模型を田内の法則に基づいて製作し、そのコッドエンドに簡易な構造の網目展開装置を装着して、回流水槽で実験を行い、展開装置の大きさや装着部位と曳網時のコッドエンド網目形状を比較した。この装置は一定の網目展開効果を持つことを確認した。実証段階として、練習船の底びき網によるフルスケールの操業実験を開始したが、荒天による操業回数不足のため、実物網の展開装置の効果やその最適な大きさ及び装着部位の決定には至らなかった。コッドエンド網地に装着した振動記録データロガーの記録と水中カメラの映像から、曳網中のコッドエンド網地は、常時、水流により波打つことを確認した。こうした網地の波打つ動きは、コッドエンド内から網目を通過して網外へ逃避を試みる魚の行動に影響を与えているかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
開発した水中カメラの撮影限界深度及び性能を把握することができたが、網目展開装置を付けた実物網コッドエンドの曳網中の網目形状の撮影は、荒天による練習船の操業回数減少のために、十分な回数実施することができなかった。31年度に、必要な場合は小型練習船による沿岸底びき網実習の機会を利用するなどして、可能なかぎり実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も附属練習船の協力により、東シナ海陸棚域でトロール網を用いたフルスケールの操業実験を継続し、開発した水中カメラと用いて、実操業下での簡易なコッドエンド網目展開装置の効果を確認する。同時に、展開装置を装着した操業と装着しない操業における主要漁獲種の体長組成を比較し、この展開装置のトロール網サイズ選択性に及ぼす影響の評価を試みる。また、これまでの結果をまとめて論文として発表する準備を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年4月から、助教・練習船航海士の任に加えて、同船事務長の兼務が決定し、前任者との業務引き継ぎのために学会参加ができなかったため。
繰り越し額の大部分を学会参加のための旅費にあて、残りは少額であるため,2019年度の消耗品の補充に利用する。
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