研究課題/領域番号 |
17K07918
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
今井 秀行 琉球大学, 理学部, 准教授 (10359987)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 水圏応用科学 / 生物多様性 / 分類 / 水産学 / 集団遺伝学 / 分子生態学 |
研究実績の概要 |
甲殻類の一種であるアキアミ類は、高い種分化、甲殻類では世界二位であるが、遺伝的多様性や系統群に関する報告がほとんどない。はじめに遺伝子と形態データから分類体系の再検討をおこなうとともに、水産資源としてのアキアミ種群の保全と持続的利用のための基盤データを収集することを目的とした。初年度である平成29年度は以下となる。 種分化を明らかにするためアキアミ属を広域的に収集を開始した。入手が困難であったアメリカ大陸に生息するアキアミ類を除いて、ほとんどの太平洋産の種を入手することができた。分子系統樹を作成したところ、Omori(1975)による形態データで作成された系統樹とほぼ同様の結果を得た。例外的に2つの未記載種と1種の日本初記録種が考えられ、さらに標本収集の必要性が生じた。アキアミの系統群分離のためにミトコンドリアDNAの塩基配列解析による集団遺伝学的解析を実施した結果、遺伝的多様性が高く、独立性の高い地域集団の存在が明らかになった。他の甲殻類と比較するためにテナガエビ類についても日本産全種による分子系統樹を作成した。その結果、複数の未記載と考えられる隠蔽系統が示された。またシマイセエビの系統群分離についてマイクロサテライトDNA解析を用いて試みた結果、遺伝的多様性が高く、既報のミトコンドリアDNA解析結果を支持して西太平洋では大きな遺伝子プールを形成していることが明らかとなり、周辺各国が協力して資源管理をおこなうことが望ましい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アキアミ種群の分子系統解析においてアメリカ大陸の標本を入手することが困難であった。アキアミ類の2つの未記載種について、形態の損傷した標本が多く、現地で収集する必要性が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
アキアミ種群の全種の標本入手は、アジア地域だけでなくアフリカ東岸、南アメリカ東岸など広域に分布しているために単年度ですべて収集することが当初から難しいことを予想済みであり、次年度も引き続き収集と分類学的再検討を進める。模式標本の確認作業が必要なことからパリ自然史博物館やコペンハーゲン等に出向く。アキアミ類の系統群分離では、アキアミ1種だけでなく、ジボガアキアミA.sibogaeなど広域分布種についても進めていく。
|