研究課題
本研究は、特に夏季において河川に生息するアユの大量死や釣獲不良をもたらすエドワジエラ・イクタルリ感染症原因細菌Edwardsiella ictaluriの河川動態および動態要因の解明を目的としたものである。これまで多摩川水系計22地点において、qPCR法により河川水中のE. ictaluriおよびアユ由来DNA(アユeDNA)量を調べた結果、特に春季のE. ictaluriの河川動態において、海産アユの遡上が密接に関わっていることが推察された。そこで昨年度に引き続き、多摩川水系の下流および中流域で採捕した海産アユを対象にE. ictaluriの保菌検査を実施し、2年連続で同様の結果を得た。すなわち、本年度も下流域では6月になるまで陽性個体は殆ど確認されなかったのに対し、中流域では4月下旬~5月上旬よりE. ictaluriが検出され、6月に入ると陽性率が急激に増加した。また、中流域の水底堆積物や石面付着藻類中に高濃度のE. ictaluriが検出され、海産アユの胃内容物からは同水域の石面付着藻類の優占種が確認された。なお、調査期間中にアユの放流種苗からE. ictaluriは検出されなかった。これらの結果は、海産アユが下流~中流域を遡上中にE. icutaruiが局在している石面付着藻類を摂餌することで、E. ictaluriに感染・保菌していることを示している。
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Fish Pathology
巻: 54 ページ: 61-63
https://doi.org/10.3147/jsfp.54.61