研究課題
2013年5月28日から2015年10月28日までの各月1回、静岡県伊東市の宇佐美湾へ流れる伊東仲川、伊東宮川(以後、仲川と宮川と表記する)の2河川でニホンウナギの採集調査が静岡県水産技術研究所によって行われた。この調査の解析の結果、体長10cm以上の個体数(本研究では黄ウナギと定義する)は、仲川が1,871個体で、宮川が333個体と、近隣した河川間でも採集個体数に明瞭な違いがあった。また、仲川は10cm以上で15cm未満の個体、宮川は40cm以上で45cm未満の個体がそれぞれの河川内で最も個体数が多かった。以上の結果と河川環境から、仲川は三面護岸や堰があるため小さい個体が多く、宮川は自然的な河川要素が残っているため大型個体が存在すると考えた。宮川において2015年1月に河川改修の工事が行われた。その影響により、その後の採集個体数は激減した。この結果から、冬の河川工事は、黄ウナギの生息数に影響を及ぼすと推察した。2014年10月20日から2015年10月28日までに上記の2河川で行われた養殖ウナギの放流効果の解析を行った結果、養殖ウナギの再捕尾数(再捕率)は、放流後1年間では46尾(23%)であった。しかし、このうち後半の半年間に限れば17尾(8.5%)と低かった。同河川に生息する天然のニホンウナギの肥満度は4月から夏にかけて増加するのに対し、放流した養殖ウナギの肥満度は終始、減少傾向が続いた。養殖ウナギの体色は、放流時の黒色状態が放流1年後でも全く変わらなかった。これらの結果より、放流した養殖ウナギは2河川において成長していないと考えた。また、養殖ウナギの移動に着目すると、放流直後に分散する傾向があり、その後、4個体が海を隔てた別河川で発見された。この結果から、養殖ウナギは天然のニホンウナギに比べて移動率が高いと推察した。出前授業を高校4件、また市民講座を3件行った。
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