研究実績の概要 |
トラフグSCPP遺伝子群の9遺伝子中12座(SCPP1, -2, -3A-1, -3A-2, -3B-1, -3B-2, -3C-1, -3C-2, -4, -5, SPARC, SPARCL1)に対して設計したcrRNA各31ng/μl,および tracrRNA 41ng/μl, Cas9RNA 188ng/μl に調整したRNA溶液を、トラフグ受精卵1602個に顕微注入した。ふ化時期の生存率は81%(n=31)であった。推定ふ化数は1200尾であった。同様の試験を計3回実施し、ふ化仔魚は体長7-10cm程度まで育成し、HMA法により変異導入を確認した。その内45個体について、9遺伝子座に対して同時変異遺伝子数が4個のものは4個体(8.9%)、3個のものは11個体(24.4%)、2個のものは10個体(22.2%)、1個のものは16個体(35.6%)、0個のものは4個体(8.9%)であった。また各遺伝子ごとの変異導入個体数は、SCPP1が36個体(80.0%)、SCPP2が0個体(0%)、SCPP3Aが4個体(8.9%)、SCPP3Bが13個体(28.9%)、SCPP3Cが7個体(15.6%)、SCPP4が9個体(20.0%)、SCPP5が0個体(0%)、SPARCが19個体(42.2%)、SPARCL1が1個体(2.2%)であった。受精卵を用いた切断活性の試験結果では、SCPP3B-1, SCPP3C-1, SCPP4, SPARCのcrRNAの活性が高く残りは低い傾向だったが、SCPP1については合致しなかった。種苗として育成できたすべての個体において、目視において歯の形状への変化は認められなかった。この結果から、部分的に一部のSCPPタンパクの発現量や発現細胞が減っても、歯の形状自体には影響を与えないことが示唆された。
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