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2019 年度 実施状況報告書

水流による浮遊・遊泳補助を利用したマダコ種苗生産技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K07928
研究機関東京海洋大学

研究代表者

團 重樹  東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (20443369)

研究分担者 濱崎 活幸  東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (90377078)
岡 雅一  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 研究員(再雇用) (30426308) [辞退]
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードマダコ養殖 / 種苗生産 / 適正餌料 / アルテミア
研究実績の概要

マダコの幼生飼育における餌として、ガザミのゾエアの給餌が有効であることが報告されている。ガザミゾエアは天然抱卵雌を管理してふ化させることによって入手可能であるものの、天候や不漁などの原因で安定して入手できない場合もある。安定して入手可能な甲殻類プランクトンとしてアルテミアがあげられるが、アルテミアを給餌してマダコ幼生を給餌すると、マダコ幼生が大量死することが知られている。本研究では、アルテミアをマダコ幼生飼育水槽へ添加すると複数個体のアルテミアが絡まり合って死亡してしまう凝集現象に着目し、マダコ幼生がアルテミアの凝集に及ぼす影響について検討した。ふ化直後(0日齢)から20日齢の間の成長段階が異なるマダコ幼生を、アルテミアふ化ノープリウス、または3日培養メタノープリウスと24時間にわたって同一容器内で共存させる実験を行った。共存終了後にマダコのアルテミア摂餌数とアルテミアの凝集率を求めた。また、アルテミアのみを容器に収容し、マダコ幼生を共存させない対照区を設けた。その結果、マダコ幼生が成長するとともにアルテミアの凝集率が高くなる傾向が認められ、ふ化ノープリウスと比較してメタノーウリウスの凝集率が有意に高かった。また、対照区では凝集は認められなかった。マダコ幼生は共存するアルテミアの一部を摂餌しており、アルテミアの凝集現象はマダコ幼生の摂餌に伴う消化液の体外への分泌と関連しているものと推察された。凝集したアルテミアの外部形態を電子顕微鏡で撮影して観察したところ、触覚や鰓脚の剛毛(setae)に生える細毛(setules)の先端がかぎ状に変形していることが確認され、変形した細毛同士が絡まり合うことが凝集現象の原因であると推察された。凝集したアルテミアは著しく餌料価値が低下するため、アルテミアを餌としてマダコ幼生を飼育するためには、凝集現象の防除が重要であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マダコ幼生を飼育するための餌として長年有望視されてきたアルテミアについて、アルテミアを餌として使用する際の問題点を明らかにし、今後の技術開発につながる知見を得ることができたため。

今後の研究の推進方策

マダコ幼生の餌として適したサイズにまで養成したアルテミアは一般に栄養価が低く、マダコ幼生の栄養要求を満たすことが困難であると報告されている。次年度の研究では、アルテミアの摂餌生態の観点からアルテミア長期養成における適正餌料の検討を行い、栄養価の改善策を検討する。

次年度使用額が生じた理由

論文の掲載予定時期に遅れが生じ、掲載料として計上していた予算を次年度に繰り越して対応することとしたため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Flocculation of Artemia induced by East Asian common Octopus octopus sinensis paralarvae under culture conditions2020

    • 著者名/発表者名
      Dan Shigeki、Takasugi Arata、Iwasaki Hiraku、Shibasaki Shodai、Yamashita Kazuhiro、Hamasaki Katsuyuki
    • 雑誌名

      Aquaculture Reports

      巻: 17 ページ: 100330~100330

    • DOI

      10.1016/j.aqrep.2020.100330

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] アルテミアの微細藻類に対する摂餌特性2020

    • 著者名/発表者名
      山下和宏、團 重樹、浜崎活幸
    • 学会等名
      令和2年度日本水産学会春季大会

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公開日: 2021-01-27  

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