平成29年から3ヵ年、6~9月に瀬戸内海、豊後水道、紀伊水道の合計7地点で毎月クルマエビの稚仔を採集し、SSRマーカーとmtDNAマーカー分析を行った結果、豊後水道の多様性が比較的高かったものの、地点間に顕著な差違は無かった。しかし、SSRマーカーでの血縁度の分析では、豊後水道と燧灘東岸の間と周防灘と播磨灘の間にそれぞれ違いが見られ、前者はmtDNA分析でも差違が認められた。また、Structure解析では瀬戸内海東部(燧灘東岸と播磨灘)の稚仔が他と異なる集団に由来する傾向が示され、瀬戸内海には東部と西部にそれぞれ親集団が存在し、稚仔の交わりが距離によって制限されている可能性が考えられた。
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