本研究では,低温増殖性のMorganella psychrotolerans(Mp)の食品汚染状況を調べ,本菌に感染する新規溶菌性バクテリオファージ(ファージ)を分離し,その感染特性とファージを利用した新規微生物制御法について検討した。Mpは国内流通の水産食品を高頻度で汚染していた。Mpに感染するファージの分離に成功し,特にMPV5株は魚肉に接種すると保存中のMpの発育とヒスタミン蓄積を抑制した。さらに酢酸ナトリウムとの併用によってその効果は強くなった。したがって,水産食品におけるMpによるヒスタミン食中毒予防にファージMPV5を利用したファージセラピーが有効であることが明らかになった。
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