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2018 年度 実施状況報告書

糖分子の導入による新たな抗炎症魚肉ペプチドの創成とその作用メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07932
研究機関北海道大学

研究代表者

佐伯 宏樹  北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (90250505)

研究分担者 都木 靖彰  北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (10212002)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード抗炎症機能 / 魚肉タンパク質 / 魚肉ペプチド / 糖修飾 / メイラード反応
研究実績の概要

糖修飾したシロザケ筋原線維たんぱく質は,強い抗炎症作用を示す。その効果成分が産生ペプチド画分に集中することから,本研究では,等電点分画(IEF)を活用した抗炎症ペプチドの効率的調製」を目指している。昨年度はアルギン酸オリゴ糖(AO)修飾によって得た抗炎症ペプチドをIEFに供し,そこで得た酸性ペプチド画分が,強い抗炎症作用を示すことを確認したが,その効果は消化ペプチド全体で得た作用よりも弱かった。この問題の原因解明は目標達成に欠かせないと判断し,今年度は,IEFで20分画したMfペプチド(MfP)を各々AO修飾した後,マクロファージにおけるTNT-α産生の抑制効果を調べた。すなわち,各MfP画分にAOを混合・凍結乾燥し,60℃(相対湿度75 %)で0-12時間保持してメイラード反応を介したAO修飾を行い,経時的にAO修飾ペプチド(以下MfP-AO)を得た。MfP-AOの抗炎症作用は,マウス・マクロファージ様細胞(RAW264.7)におけるTNF-α産生を抑制効果によって判断した。
【結果】MfP-AO画分は,いずれもAO修飾4時間で最大のTNF-α産生抑制効果を示したが,この作用は,酸性ペプチド画分だけではなく,塩基性画分においても観察された。この知見の獲得は,昨年度の「酸性ペプチドを対象としたAO修飾が全消化ペプチドよりも抗炎症作用が劣っていた」という現象を,「AO修飾が酸性画分以外の消化ペプチドにも抗炎症作用を付与できる」という事実から説明できることを示している。そして各MfP-AO画分を詳細に検討すると,抗炎症作用が付与されない画分も存在した。以上の結果を総合すると,IEFを用いた抗炎症ペプチドの効率的調製は,単に酸性ペプチドのみを収集するだけでは十分でなく,機能付与が可能なMf-P画分の選択が必要であることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の結果によって,昨年度の学術的疑問点が解消し,(1)当初想定していた酸性画分ペプチドの収集だけでは効果的な抗炎症ペプチドの産生には至らず,機能付与が可能なペプチド画分を確実に選択する重要性を示すことができた。また(2)コラーゲンへのAO修飾法についても条件検討の目処がつき,来年度に向けた準備を終えることができた。さらに(3)昨年度,エンドトキシン混入によって抗炎症作用測定が損なわれたチョウザメコラーゲンについては,調製方法を改善するとともに,別の魚類材料から調製したコラーゲン試料を使用することで,問題点を回避する事ができた。これらのことから,研究は概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今年度の結果によって,IEFを用いた抗炎症ペプチドの精製は,AO修飾した試料にのみ有効であることがわかった。すなわち,酸性ペプチドの分別回収は,AO修飾のタイミングによっては有効でない場合があるといえる。この事実を踏まえて最終年度は,(1)コラーゲン・ペプチドへのAO修飾とIEFによる抗炎症画分の回収をおこない,機能を評価する。また同時に(2)魚類筋原線維由来の消化ペプチドをAO修飾し,これを用いて糖分子の導入が誘引する抗炎症作用の発現メカニズムについて細胞レベルでの解析をおこなう。そして,これらの活動と既に得た知見を用いることで,「糖修飾による水産物由来ペプチドへの抗炎症作用の付与」技術に関する学術的総括を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] アルギン酸オリゴ糖修飾した シロザケ筋肉ペプチド間における抗炎症作用の比較2019

    • 著者名/発表者名
      大西 豊,李 ブン釗,趙 佳賢,佐伯 宏樹
    • 学会等名
      平成31年度日本水産学会春季大会

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公開日: 2019-12-27  

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