本研究で魚類における水温変化に対する応答に関与する代謝制御因子およびマクロ栄養素嗜好性調節因子が明らかになったことにより,適正水温以外でも飼育可能な養殖システムの確立に向けた基礎的知見の蓄積に繋がった.つまり,飼育環境を移動できない養殖魚が地球温暖化によって水温が変化し,それに伴って代謝が変動した際にも,その温度に応じた栄養素の推測が可能となる.したがって,地球環境変動に左右されない効率的養殖システムの確立に繋がり,食料問題の解決の一端となることが期待できる.また,本研究の成果は,生物の根幹を担う食の選択メカニズムを解明するという意味で基礎生物学的に重要な知見となる.
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