現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EHEPの大腸菌発現系を以下に示すように構築した。EHEPをGST融合タンパク質として発現させ、超音波処理後、融合タンパク質を封入体として回収し、8M尿素液で可溶化した。次に6M, 4M, 3M, 2M, 1M, 0Mの尿素液で透析し、徐々に尿素濃度を下げることにより水溶性のEHEPを得た。このEHEPは、野生型EHEPと同様にフロロタンニンによるBGLの阻害を抑制した。 21K セルラーゼはアメフラシ消化液中で最も濃度(0.1mg/ml)が高いが、カルボキシメチルセルロースに対する活性は他のセルラーゼに比べ非常に低く(約50分の1)、そのセルロース分解における役割は不明であった。今回、21Kセルラーゼは、セルロースに強固に安定的に結合し、エンドグリコシダーゼ活性に加えて、セロビオースやセロトリオースを遊離するエキソグリコシダーゼ活性を有することを明らかにした(第69回日本生物工学会大会発表2017年9月)。 セルロース系バイオマスの利用における最も解決すべき問題は、セルラーゼコストが高すぎることにある。安価なアミエビの粗抽出液を市販セルラーゼ(トリコデルマ由来メイセラーゼ)と併用することにより、未利用の海藻資源であるワカメ茎やワカメめかぶの糖化反応を効率化し、セルラーゼコストを下げる方法を開発した。 EHEPはフロロタンニンと特異的に結合し、不溶性の沈殿を形成する。この沈殿物からフロロタンニンを回収する方法について検討したところ、沈殿物をpH8.0以上の緩衝液で懸濁し反応すると、沈殿物は可溶化しEHEP/フロロタンニン複合体が解離することを見出した。北海道大学との共同研究によって明らかにしたEHEPの立体構造から推定されるフロロタンニンとの結合に重要なアミノ酸残基の変異体を大腸菌で作成し、変異体の活性から、結合に重要なアミノ酸残基を明らかにした。
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