研究課題/領域番号 |
17K07940
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
長富 潔 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40253702)
|
研究分担者 |
金井 欣也 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40145222)
小田 達也 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (60145307)
吉田 朝美 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (80589870)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 抗酸化酵素 / 酸化ストレス / プロモーター / 転写制御因子 / 魚病細菌 / flagellin / 細胞培養系 |
研究実績の概要 |
本研究では分子生物学的手法を用い、 魚類抗酸化酵素遺伝子の制御領域の解析並びに酸化ストレス応答に関連する転写制御因子を探索すること、次いで魚類培養細胞株やヒラメマクロファージの初代培養系によってエドワジエラ症の原因菌Edwardsiella tarda (E.tarda) 等の暴露に伴う酸化ストレスに対する抗酸化酵素の応答機構を分子レベルで明らかにすることを目的とした。
本年度は、エドワジエラ症の病原因子の候補として同定されたE.tarda強毒株及び弱毒株の両flagellin遺伝子の大腸菌による大量発現系を構築した。また、主要なタンパク質成分としてflagellinを含むE.tarda由来菌体外産生物質 (ECP) 、又は組換えflagellinをRAW264.7細胞 (マウスマクロファージ系株化細胞) に暴露したところ、NO及びTNF-αの産生誘導が確認された。 ヒラメCu,Zn-SOD遺伝子5’-上流領域 ( -1,124 / -1 ) のプロモーター活性は、E.tarda両菌株ECP刺激によって増加した。また、種々の欠失ミュータントを用いたプロモーター活性解析の結果、ECP刺激に伴う酸化ストレスにおける本酵素遺伝子の発現調節部位はNF-IL6認識配列 ( -202 / -194 ) であることが推定された。一方で、強毒株組換えflagellin刺激によるプロモーター活性の変化は見られなかったが、弱毒株由来組換えflagellin刺激で活性が著しく増加した。更にプロモーター活性解析の結果、弱毒株由来組換えflagellin刺激に伴う酸化ストレスにおける本酵素遺伝子の発現調節部位は、C/EBPα認識配列 ( -106/ -102 ) であることが推定された。なお、ヒラメMn-SOD遺伝子プロモーター領域については、レポーターアッセイ系を構築中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞株の活性酸素種及びサイトカイン産生能の検討はやや遅れている状況であるが、ヒラメSOD遺伝子のプロモーター領域の解析ではいくつかの新知見が得られており。全体的には概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
魚類抗酸化酵素遺伝子5'-上流領域の欠失ミュータントを用いてプロモーター活性解析を更に進めて発現調節部位を推定すると同時にゲルシフト解析等により酸化ストレス応答に関連する転写制御因子の探索を行っていく。
|