研究課題
海洋軟体動物ヘモシアニンは血リンパ液に存在する細胞外酸素運搬タンパク質であり、その分子量および分子構造は節足動物ヘモシアニンとは大きく異なる。この分子は最大のタンパク質分子のひとつで、頭足類の分子はサブユニットの10 量体、その分子量はイカ由来分子で3.8 MDaにも及ぶ。ヘモシアニンはヘモグロビンの様にアロステリック効果を持つと考えられているが、巨大な会合体の生化学研究は進んでいない。そこで本研究では、軟体動物ヘモシアニンの会合体形成の生理的意義およびアロステリック制御機構の解明をめざし、会合体形成過程におけるアロステリックな会合中間体の同定を研究目的としている。初年度、および2年目は、イカヘモシアニン試料について、10量体と会合体解離物の遠心分離による分画を行い、電気泳動上で区別する測定系を構築した。また、酸素結合能測定システムを構築した。最終年度にあたる本年は、様々な温度やpH条件で酸素/窒素混合ガスをヘモシアニン試料に曝露して得られた酸素結合曲線についてHill式によるコンピュータフィッティングからHill係数とKm を算出、比較した。その結果、中性~弱酸性域でのわずかな pH の低下がアロステリック効果の急激な低下を引き起こすことが示唆された。このとき、10量体構造を保持しているにも関わらず、アロステリック効果を示さない条件が認められた。一方、会合体が解離する条件下でのHill係数を算出したところ、安定なpH域では10量体の解離物(4~8量体の混合試料)においてアロステリック効果が認められた。これらの結果から、アロステリックな会合中間体は存在することが示唆され、さらに、アロステリック効果の発現には会合状態よりも会合体分子内構造の影響が大きいものと推測した。
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