研究実績の概要 |
1.腸管吸収モデルであるCaco-2細胞を用いたフロロタンニンの透過試験を行ったところ、一旦細胞に取り込まれ、その後、急激に体内側(基底膜側)へと透過されることが分かった。また、フロロタンニン精製物3種(eckol, 8,8'-bieckol)を透過させたところ、LC-MS分析において、透過16時間後にはeckol, 8,8'-bieckolともに透過液にはeckolのみ検出されたので、8,8'-bieckolはeckolに代謝されて透過される可能性が考えられた。更に、それら精製物の透過物には、脱顆粒抑制や炎症関連酵素COX-2の活性阻害を示したので、フロロタンニンは腸管吸収を経ても、有効性が発揮されることが示唆された。 2.脱顆粒モデルのRBL-2H3細胞に対するフロロタンニンの脱顆粒抑制作用について、その機序を調べた。脱顆粒に関与するCa2+流入についてはフロロタンニンは抑制を示し、プロテインキナーゼCα(PKCα)のリン酸化も抑制した。よって、フロロタンニンはCa2+流入と細胞内シグナル伝達のリン酸化を抑制することで、脱顆粒抑制を示す可能性が示唆された。 3.フロロタンニンの免疫調節作用を調査するため、制御性T細胞の分化に対する影響をフローサイトメトリーを用いて調べた。その結果、フロロタンニン投与により制御性T細胞分化が抑制されたので、フロロタンニンは免疫を全般的に抑制して不応答化することで、抗アレルギー効果を示している可能性が考えられた。 4.6,6'-bieckolおよび6,8'-bieckolは炎症モデルマウスの炎症を抑制し、それら2種とeckol、8,8'-bieckol、phlorofucofuroeckol (PFF)-A、PFF-Bの合わせて6種は脱顆粒抑制により、アレルギー性炎症を抑制している可能性が見出された。
|