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2017 年度 実施状況報告書

雄ウナギ催熟技術高度化のための組換えウナギ生殖腺刺激ホルモン作用機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07952
研究機関国立研究開発法人水産研究・教育機構

研究代表者

尾崎 雄一  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, 主任研究員 (10734030)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード精子形成 / ニホンウナギ / 精原細胞 / 精母細胞 / セルトリ細胞 / ライディッヒ細胞
研究実績の概要

組換えニホンウナギ濾胞刺激ホルモン(reFsh)および黄体形成ホルモン(reLh)の雄ウナギ成熟への作用機構の詳細を解明するためには、各発達段階の生殖細胞および精巣を構成している各体細胞のマーカーとして利用可能な特異抗体が必要である。
これまでにゼブラフィッシュにおいて精原および精母細胞マーカーとして有用なPlzf、Cyclin B3およびSycp3に対する特異抗体を作製しており、先ず、それら抗体のニホンウナギ精巣でのマーカーとしての有用性を調べた。それら抗体を用いてニホンウナギ精巣の免疫組織化学的観察を行った結果、抗Cyclin B3抗体に対する陽性反応が精原細胞に、抗Sycp3抗体に対する陽性反応が精母細胞に強く認められ、それら抗体が精原および精母細胞マーカーとして有用であることが明らかになった。
次に、既に作製していた抗ニホンウナギnos2抗体のマーカーとしての有用性を同様に調べた結果、精原および精母細胞に免疫陽性反応が観察され、生殖細胞マーカーとしては利用可能と考えられたが、ステージ特異的なマーカーとしては利用できないことが示された。
さらに、市販の坑sox9抗体を用いた免疫組織化学的観察の結果、セルトリ細胞に陽性反応が認められ、セルトリ細胞マーカーとして利用可能であることが示唆された。一方、基底膜の主要構成タンパクであるラミニンに対する市販抗体を用いた免疫染色では、その陽性反応は観察されなかった。加えて、ステロイド代謝酵素であるコレステロール側鎖切断酵素および17α-水酸化酵素/C17-20切断酵素について、既存のニホンウナギのそれら酵素に対する特異抗体が、ライディッヒ細胞マーカーとして利用可能なことも再確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

reFshおよびreLhの雄ウナギ成熟への作用機構の詳細を解明するためには、各発達段階の生殖細胞および精巣を構成している各体細胞のマーカーとして利用可能な特異抗体が必要であり、先ず、それら特異抗体を準備することを目的として実験を行った。その結果、これまでに精巣を構成する主要な細胞であり、且つ成熟に伴い精巣内での動態が変化する主な細胞と考えられる精原細胞、精母細胞、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞のマーカーとして利用可能な特異抗体を準備することに成功している。従って、ほぼ目的は達成されたと考えられ、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。当初、ニホンウナギsox9に対する特異抗体を作製するため、そのcDNAの635 bpの部分塩基配列を決定した。しかし、市販の坑sox9抗体がニホンウナギ精巣の免疫組織化学的観察においてセルトリ細胞を特異的に認識したため、ウナギsox9に対する抗体は作製していない。市販の坑sox9抗体がセルトリ細胞マーカーとして利用可能という結果が得られたことから、当初の目的を果たしていると思われる。一方、基底膜や結合組織のマーカーとして有用な抗体は得られなかったことから、引き続き選定を進める必要がある。

今後の研究の推進方策

reFshおよびreLh投与により雄ニホンウナギを催熟し、各発達段階の精巣、輸精管、精液サンプルを収集する。また、reFshおよびreLhの精巣への直接の作用を調べるため、未熟精巣培養系にreFshおよびreLhを添加することにより精子形成を誘導し、各発達段階の培養精巣をサンプリングする。これら投与実験または培養実験により得られた精巣を、これまでに得られた生殖細胞および体細胞マーカーを用いた免疫組織化学的観察に供し、精原細胞数の変化、減数分裂の開始時期、セルトリ細胞およびライディッヒ細胞数の変化など、reFshおよびreLhにより誘導される精子形成の差異を詳細に解析する。さらに、各発達段階の精巣から調整したcDNAを用い、reFshおよびreLhの各種生殖関連遺伝子の発現に及ぼす影響を定量リアルタイムPCRにより調べる。
またこれまでに、ニホンウナギをreFshおよびreLh投与により催熟した結果、採精量や得られた精子の運動能において、reLh投与群の方が著しく高値を示したことから、輸精管の発達や精漿成分に及ぼすreFshおよびreLh投与の影響も調べる。reFshおよびreLh投与により催熟されたニホンウナギから得られた輸精管の形態の差異を、組織学的に詳細に解析する。精漿に関しては、その成分の違いを明らかにし、精子の運動能に係わる因子を解明する。

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公開日: 2018-12-17  

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