本研究は,韓国において米を関税化した際に政府が打ち出した米産業発展対策による米産業の競争力強化の検証をテーマとしている。2015年にミニマムアクセスの延長を打ち切り,関税化へ移行するなか,安価な輸入米による価格低下を懸念する農業者の不安解消も含め,規模の拡大と農業者組織,すなわちトゥルニョク経営体の育成を通じて米産業の競争力強化を果たそうとしたものであった。 一方で,既存の直接支払いを統合し,公益直接支払いに一本化して小規模農家の維持と継承を果たそうとしている。しかし,そのことが規模拡大志向農家への農地流動を緩やかなものとするなど,競争力強化へのアクセルとブレーキの双方をもたらしている。
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