研究課題/領域番号 |
17K07967
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
坂井 教郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (80454958)
|
研究分担者 |
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
杉村 泰彦 琉球大学, 農学部, 准教授 (80405662)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | タイ / 精製糖企業 / 製糖工場 / 多角化 |
研究実績の概要 |
本年度は,南西諸島の甘味資源作物や製糖業に関連する地域・業界の下記の3点について調査を実施した。第1は国内の精製糖企業,第2は北海道の製糖企業,第3はタイの製糖企業とさとうきび生産者である。 1.国内の精糖企業間で砂糖の製造技術に差はなく,製品の差別化ができるわけではない。また売上はほぼ固定されている。砂糖消費量の減少と輸入自由化の流れは進み,現行の糖価調整制度を将来的には維持できないと予想されるため,系列の異なる企業同士で共同生産工場を持つ動きや,不動産や食品等の砂糖以外への事業の多角化を進めている。精糖業界にとっての国内産地は,精製糖の輸入を阻止する役割がある一方で,南西諸島の粗糖は質が低く,オーストラリア産を精製した方が利益は大きいという面で必要不可欠な存在とは必ずしも言えなくなりつつある状況にある。 2.北海道では生産条件の厳しいオホーツクや美幌,十勝などで,依然てん菜の位置付けは大きい。製糖工場はJA系や商系の複数の工場が存在するが,工場の集荷地区は実質的に地域分けされており,工場間の競争があるわけではない。だが,労働力の不足と他作物との競合に直面し,てん菜の生産は収量と安定性が低下しても省力的な直播が増加しており,工場の原料の確保は困難になりつつある。 3.砂糖の国際競争力の高いタイにおいてもさとうきびの産地は条件不利地域であった。製糖企業は製糖のみでは経営が不安定で,売電やエタノールなどの収入源の多角化に取り組んでいることも明らかになった。また日系資本の企業でも日本への粗糖の輸出はわずかであり,原料の供給基地という位置づけではない。他方,さとうきび生産者は労働力の不足に直面しつつあり,今後機械化が進むことが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた地域の調査を実施することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
国内の甘味資源作物の生産者と製糖企業に関して重点的に研究を行うとともに,海外の産地についても引き続きフォローする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りに使用できたが,若干の端数的な残額が生じた。残額はわずかであり,使用計画の変更はない。
|