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2022 年度 実績報告書

甘味資源作物の存在意義と地域農業の展望

研究課題

研究課題/領域番号 17K07967
研究機関鹿児島大学

研究代表者

坂井 教郎  鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (80454958)

研究分担者 内藤 重之  琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
杉村 泰彦  琉球大学, 農学部, 教授 (80405662)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワードてん菜 / 黒糖 / タイ / 台湾 / さとうきび / 調整金 / 多角化
研究実績の概要

本年度の研究成果は,北海道におけるてん菜の栽培面積の減少要因に関する研究と,過剰問題が指摘される黒糖の販売に関する研究である。
北海道のてん菜の栽培面積の減少要因は地域によって異なり,高収益作物や畜産飼料基盤の拡大による地域と,てん菜の単収減による収益性低下の地域に分かれる。後者に関しては,交付金対象の上限もあることから,単収増加による収益性の改善は難しく,作業時間減少による費用削減が効果的であることが示唆された。
黒糖の過剰問題に関しては,品質のよい黒糖を製造する民間工場や交付金を受けずに黒糖を製造する零細工場では,一定の販売先を確保しており,大きな問題となっているわけではなかった。ただし,交付金対象の黒糖製造に関しては,原料の全量買取が義務であるにも関わらず,販売は工場側が責任を持つという制度的矛盾が今後は問題となる懸念がある。
研究期間全体の成果としては以下の点を指摘できる。タイや台湾においても,さとうきび作の位置づけは,既に条件不利地域作物となりつつあり,また製糖企業は製糖のみでの経営の維持は困難であることから,事業の多角化を進めるとともに,工場の存在の公益性を強調するようになっている。また,日本の精製糖企業は,経営や製造過程の統合,事業の多角化を進めている。
一方,南西諸島のさとうきび作と製糖企業は1960年代に競争力を失い,それ以降,交付金によって支えられているが,調整金収入が減少する中で,現在の制度の持続性が危ぶまれている。ただし地域全体が条件不利地域の意味合いを持つ南西諸島では,さとうきび作と製糖業が無ければ耕作放棄地の拡大は不可避であり,両者の存在は不可欠である。しかし,さとうきび作のみ,製糖業のみでは将来展望を見出すことは困難である。納税者負担の下で,他の作目も含めた島の産業全体を支える姿に,さとうきび作や製糖業も変化していくことが求められる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 輪作作物としてのさとうきびと南西諸島の農業2023

    • 著者名/発表者名
      坂井教郎,内藤重之,杉村泰彦
    • 雑誌名

      鹿児島大学農学部学術報告

      巻: 73 ページ: 1-16

    • オープンアクセス
  • [学会発表] コメント・戦後沖縄農業・農村史研究の再検討2023

    • 著者名/発表者名
      坂井教郎
    • 学会等名
      日本農業史学会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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