研究課題/領域番号 |
17K07978
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
市田 知子 明治大学, 農学部, 専任教授 (00356304)
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研究分担者 |
西澤 栄一郎 法政大学, 経済学部, 教授 (30328900)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 環境保全型農業 / EU共通農業政策 / ドイツ / 環境支払い / グリーニング / 農業者の意思 |
研究実績の概要 |
2017年度はドイツにおいて、1)環境保全型農業推進のための政策の実施、2)慣行農業から有機農業への転換のための支援体制の2点を現地調査に基づき明らかにした。このうち1)については、2017年9月から2018年1月にかけて、ニーダーザクセン農業会議所の協力により、EUの農業政策の中に含まれる環境保全型農業の推進プログラム(グリーニング)の内容、農業者への指導、研修の実態を調べることができた。同州農業会議所では毎年、申請手続きが開始する直前である3月に各農家がパソコンからログインし、航空写真に基づく圃場地図を確認できるようにし、さらに5月までの間に、この年に申請する直接地払いのための作付内容やグリーニングの環境用地の場所を地図上に記入できるようにしている 。2月にはこの手続きのための説明会が各地で開催されている。抜き打ち検査に備えるべく検査の予行演習も有料で行っている。また、2)については同州内エッヘム農業研修所において12月12日に開催された、慣行農法から有機農業への転換に関する研修会に参加した。研修会にはは報告者を含め約25名が参集していた。有機農業の支援制度、土壌保全、大手スーパーとの提携、除草用機械の説明など、5名の報告を受け、その後、討論を行った。一般に、慣行農業から環境保全的な農業に転換する要因、動機付けとして、第1に直接支払い等により経済的に見合うこと、第2に検査により違反が発覚し、罰則が適用されるリスクの回避、そして第3に環境保全的な農業による社会貢献意思などの社会的な要因が考えらえる。とくに第3の社会的要因に関しては上記のような政策実施や支援体制も影響すると思われる。今後,事例調査を重ねて解明していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
環境保全型農業の推進がドイツにおいてどのように行われているのかを、農業会議所の指導員、農業者からの聴き取りから明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、ドイツにおいてより多くの農業者からの聴き取りを行う必要がある。同時に、日本の環境保全型農業直接支払いの実態を、実施地区に赴いて調べる必要がある。また、年度末に開催予定の学会報告に向けて準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツおいて日本において、農業者を対象にヒアリング、アンケート調査を行う予定である。
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