研究課題/領域番号 |
17K07978
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
市田 知子 明治大学, 農学部, 専任教授 (00356304)
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研究分担者 |
西澤 栄一郎 法政大学, 比較経済研究所, 教授 (30328900)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 有機農業 / 農業環境政策 / 契約生産 / 直売 / 大手スーパー / 滋賀県 |
研究実績の概要 |
2018年8月19日から27日にかけて、ドイツ北部、ニーダーザクセン州にて有機農業経営に関する実態調査を行った。20日は、連邦政府のチューネン研究所で情報収集を行ったあと、穀物、ジャガイモを中心に大手スーパーとの契約生産を行う有機農場(Robert Huebner経営)を訪ね、経営内容について聴き取りをした。21日は州農業会議所において情報収集を行った。22日から24にかけては、フェルデン郡にて農場内の売店、宅配を行う有機農場Schumacher、定期市での販売および農場での研修を行うDemeter-Biohof Schmid、二世代による共同経営であり、酪農と乳製品の直売を行う有機農場Boese-Hartjeをそれぞれ訪問し、経営内容について聴き取りを行った。今回、訪ねた事例はニーダーザクセン州農業会議所および、フェルデン郡役所を通じて紹介された優良事例である。調査対象経営の経営者は、いずれもDemeter、Bioland等、連邦規模の有機農業組織の会員であり、EUによる有機農業認証より厳格な基準を守っている。販路はファーマーズマーケット、敷地内の売店、有機食品店、大手スーパーなど多様である。質問に対する回答は的確であり、豊富な経験に基づく具体的かつ有意義な情報を得ることができた。 さらに、9月6日から7日にかけて、環境保全型農業実施面積が全国一である滋賀県にて関係者から聴き取りを行うことにより、減農薬・減化学肥料による水稲栽培が、生産組合および集落営農組織を利用しながら普及されていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツでの現地調査により、有機農業経営の大勢は、依然、家族経営、多品目少量生産、畑作と畜産の複合を行い、販路は直売または宅配というタイプが占めるものの、大手スーパーとの契約により、大規模な農地で穀物、ジャガイモ等を生産するタイプが増加しつつあることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
日本における環境保全型農業の普及、拡大のための方策を解明する。環境支払い等の政策の拡充に加え、滋賀県のように集落営農組織を利用する方法の適用可能性、さらにドイツ等、欧州諸国のような大型スーパーとの契約生産の可能性も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツでの現地調査は当初、研究分担者である西澤氏とともに行う予定であったが、日程調整ができなかったため、代表者が単独で行った。
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