研究課題/領域番号 |
17K07978
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
市田 知子 明治大学, 農学部, 専任教授 (00356304)
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研究分担者 |
西澤 栄一郎 法政大学, 比較経済研究所, 教授 (30328900)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | EU / Farm to Fork Strategy / 有機農業 / 農業経営多角化 |
研究実績の概要 |
2018 年 1 月、ドイツの農家の女性に対して行ったインタビュー結果に基づき、農業経営多角化の開始動機、開始に際しての資金調達、多角化部門の内容(カフェ、レストラン、加工・販売、宿泊提供)、家族の役割分担、多角化による効果と問題点について分析、記述した。経営多角化の動機は農業所得の補完、調理技術の活用、地域社会の要請など様々であり、多角化部門は都市住民に対して自然や動物との触れ合いの機会を提供する場として、さらに地域住民にとっては誕生日などのライフイベントの場として機能していることを明らかにした。 このような農業経営多角化は、EUが共通農業政策枠組として2020年5月に示した「農場から食卓へ」戦略(Farm to Fork Strategy)と関連している。そこでは、従来以上に環境保全、生物多様性、食品の安全性を目指している。フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は2019年12月の就任時から、「欧州グリーンディール」(2050年までにEU経済をカーボンニュートラルにする計画)の中でこの「農場から食卓へ」戦略を重要視している。農業経営の多角化は、女性が実力を発揮し、経営の持続を可能にする上で有効な手段であると同時に、資源や環境の面での持続可能性にも貢献するべく方向づけられている。Farm to Fork Strategyが目標として掲げる「持続可能な食料システムへの移行」の実現のためには、生産から消費に至る経路の短縮化(short supply chain)が一つの有効の手段になりうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
型コロナウィルス感染拡大のため、欧州での現地調査はできなかったが、web上で公開されているEUの資料、現地の調査協力者とのオンライン面談等と通して、最新の情報を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
日本における環境保全型農業直接支払い実施地域において、農業者、県の普及組織、JAの営農指導、民間の組織それぞれの主体にヒアリングもしくはアンケート調査を行い、環境保全型農業に関する情報提供や助言・指導の方法の課題を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のため、当初、予定していた現地調査ができなかった。
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