研究課題/領域番号 |
17K07980
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
淡路 和則 龍谷大学, 農学部, 教授 (90201904)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エコフィード / 食品リサイクル / 食の安全・安心 / 食品残さ / 畜産物の高付加価値化 / 飼料規制 / SDGs / 食品ロス |
研究実績の概要 |
新型コロナ感染拡大のため今年度も国内、国外の調査が実施できなかったが、文献、インターネットなどを利用した情報収集、アンケート調査を実施した。 国外研究については、厨類類のリサイクルについて収集収集を行った。EUでは2022年以降厨芥類の飼料利用は禁止されたが、こうした政策とは逆方向の促進展開が、日本のみならず韓国など東アジアで確認された。この対比については、これまで一部ジャーナリストやリサイクル指導者によって指摘されたが、近年は学術研究で取り上げられるようになった。そこでは、日本のエコフィードが、安全性を担保しつつ、畜産物の品質向上に貢献し、環境負荷を低減する飼料として評価されていることが確認された。これはSDGsの意識が高まるなかで、日本等での経験が厨芥の飼料利用の意義を明示し、政策的インプリケーションを与えるものとみることができた。また、インターネットの情報によって、ドイツ等ではEUの飼料規制により、厨芥類を飼料化していた小規模業者が撤退し、大規模で電力化、熱供給、燃料化、肥料化を合わせた厨芥類のカスケード利用を行う企業が展開している実態がみてとれた。 日本においては、アフリカ豚熱等の家畜伝染病の侵入防止の目的で、2021年に食品循環資源利用飼料の加熱処理基準が強化されたが、エコフィード製造に携わる3分の1を超える業者が対応できない事実がアンケート等で明らかになり、撤退する業者が出てきている現実が確認された。とりわけ厨芥類を原料に含み、相対的に低価格で飼料を供給することを主眼に置いた業者の減少が確認された。これにより、肉類を含まない製造副産物、余剰食品利用によって高品質化への流れが加速するといえた。 消費面では、試行的アンケートにより、「リサイクル飼料」にマイナス印象を有しても「SDGs」「食品ロス削減」などのワードが付くことによってプラスの印象を持ちうることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染拡大のためヒアリング、実態調査の実施が困難となり、計画通りには研究が遂行できない部分があった。しかしながら、文献あるいはインターネットを通じた情報収集により有益な必要な知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツ等国外を対象とした調査を実施し、食品残さの飼料利用について文献やインターネットの検索では得られない情報を多角的に収集する。また、日本のエコフィードの取り組み対する評価についての情報収集を進める。 これまでの研究を総括し、エコフィードに対する期待感と警戒感・抵抗感を誘因する社会的フィルターについてとりまとめ、エコフィードの今後の展開を展望する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大によって、当初計画していた実態調査が実施できなかったため、その関連費用が執行できずに繰り越すこととなった。次年度において未実施の調査研究を遂行する予定である。
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