研究課題/領域番号 |
17K07982
|
研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
上田 賢悦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (70611226)
|
研究分担者 |
清野 誠喜 昭和女子大学, 生活科学部, 教授 (90225095)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 普及指導員 / 農業普及 / 経験学習 / 熟達化 / 人材育成 |
研究実績の概要 |
本研究の課題は,担い手の多様化に伴う新たな普及活動に適応可能な普及指導員を効率的・効果的に育成するために,イノベーションプロセスの変化という視点から「普及指導活動がどのように変化しているのか」,そこでは「普及指導員はどのように学び成長しているのか」という成長プロセスを解明し,普及指導員の人材育成方策を提起することを目的とするものである。 これまで,臨床心理学的手法を用いた定性的なアプローチから普及指導員の成長や学習についてその促進要因を析出することを進めてきた。引き続き、定性的なアプローチを進めるため,PAC(Personal Attitude Construct)分析を用いたヒアリング調査を計画したが,新型コロナウイルスの感染拡大から調査を差し控えた状態にある。 そこで昨年度実施した10県(青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県,福島県,茨城県,千葉県,滋賀県,三重県)の普及指導員および農業革新支援専門員へのアンケート調査結果の分析を行い、「経験学習実行度」が高い群では「成長実感」「普及指導員としてのポジティブな感情」「職務適応」の評価が高いことを確認した。また,これまでの研究成果の報告と実務者(都道府県協同普及事業主務課)との情報共有の場として「普及指導員人材育成アンケート報告会」(オンライン)を企画し,岩手県,宮城県,山形県,秋田県,茨城県,千葉県,滋賀県,三重県の8県から14名の参加を得た。これまで得られた普及指導員の人材育成に関する知見について議論を行い,その妥当性を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 進捗状況を以下の点から評価した。 新型コロナウイルスの感染拡大から調査を差し控えた状態にあり,新たなヒアリング調査を実施できなかった。そのため研究期間を再度1年間延長することにより,調査・分析を継続する必要が生じている。 一方で,これまでの研究成果の報告会を企画し,実務者(都道府県協同普及事業主務課)との情報共有を図ることができた。 また,普及指導員に加えて,農業経営者や雇用就農者等を対象とした調査分析を進め,農業・農村における一体的な人材育成研究の展開を図るための基礎データを収集することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度,一昨年度と実施を見送ったヒアリング調査を実施する予定である。また,研究全体の統括・取りまとめを行うともに,普及指導員の人材育成を進めるためのマネジメントのあり方について提言することで,研究成果の学術的な位置付けを図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い,当初計画で予定していたヒアリング調査の実施を見送ったために旅費等の支出が発生しなかったからである。次年度は、複数の都道府県の普及指導員を対象としたヒアリング調査を実施することで,役務費,人件費等の支出を予定している。また,「最終年度の成果とりまとめ」に関する研究分担者との打ち合わせ,さらには学会等での成果発表,などの旅費経費を予定している。繰り越し予算も含め,最終年度における予算としては過不足なく使用できる予定である。
|