研究課題/領域番号 |
17K07984
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
中島 隆博 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 上級研究員 (60446474)
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研究分担者 |
石川 葉子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 上級研究員 (70502938)
飯泉 仁之直 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主任研究員 (60616613)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 収量ギャップ / 収量制約 / 社会経済的要因 |
研究実績の概要 |
本研究では、わが国の主要作物を対象に、国際プロジェクト「The Global Yield Gap and Water Productivity Atlas (GYGA)」の計算プロトコルを用いて、主に気温と日射量という気象条件によって規定される潜在収量と、農家レベルで実現される実収量の差として表現される収量ギャップ、つまり収量の改善余地や未到達の作物生産能力を明らかにすることを1つ目の目的としている。 今年度は、播種期(水稲の場合は田植期)、出穂期、成熟期の文献値を主要な品種・作期毎に収集し、作物生育モデルに入力するフェノロジーデータとして整理し、国内でこれまでに使用され、その手法や結果が論文として発表された、いわば確立された作物生育モデルを用いて水稲について潜在収量の推定を行った。そして、作物生産は自然環境の影響を受けるために収量の年次変動が避けられないため、平年次における農家実収量を把握するために対象市町村について対象作物の農家実収量を過去25年程度に渡って収集・整理した。さらに、得られた潜在収量ならびに農家実収量から水稲に関する収量ギャップを推定した。 一方、本研究の第2の目的である収量ギャップの社会経済要因づけに取り組むため、経営面積や労働量などといったデータを農業センサスなどの統計情報から収集し、分析を行うための準備を行った。また、本研究の成果をまとめた論文原稿についてGYGAの主催国であるオランダの研究チームと議論を重ね、完成原稿に向けて作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に実施予定だった、水稲に関する潜在収量の推定、農家実収量の収集、そして、収量ギャップの推定を実施した。そして、収量ギャップの社会経済要因づけに取り組むため、経営面積や労働量などといったデータを農業センサスなどの統計情報から収集し、分析を行うための準備を進めた。このことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
水稲について推定された収量ギャップを作物学的に解析するとともに、社会経済要因との関連性について分析を進める。成果については国際誌に投稿し、GYGAプロジェクトのウェブサイトに情報をアップロードする。 なお、この研究にとりかかりGYGAのゾーニング作業をすすめる中で、GYGAで使われている気候帯の農業的価値に気づき、その価値を明らかにする作業に多くの時間を割くこととなった。この作業の重要性に鑑み、本研究では対象作物を当初の水稲、小麦、大豆から水稲のみにしぼることとした。今後は、本研究で得られた知見を小麦や大豆に適用する可能性を探るとともに、これら作物が栽培される畑作という、水が制限された生産環境をどのように評価・表現するかについて試行錯誤したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
GYGAをわが国に適用する上での切り口の検討に時間を割き、雇用した非常勤職員にデータ収集・整理作業をまかせる段階に至らなかったため人件費の支出が少なくすんだ。次年度使用額は、非常勤職員に上記の作業をまかせることにより、研究の加速化を図る予定である。
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