研究課題/領域番号 |
17K07986
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 房雄 東北大学, 農学研究科, 教授 (30221774)
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研究分担者 |
水木 麻人 東北大学, 農学研究科, 助教 (20772502)
角田 毅 東北大学, 農学研究科, 教授 (60355261)
中村 勝則 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315605)
川島 滋和 宮城大学, 食産業学群, 教授 (80404846)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アドバンテージ・マトリックス / 規模の経済性 / 農業収益性 |
研究実績の概要 |
今年度は、緊急事態宣言をはじめ各都道府県の新型コロナウイルス感染防止対策の徹底が要請され、昨年度に言及した山形県、秋田県、宮城県でのフィールド調査等を主とする研究計画のほとんどを実行することができなかった。 そのような状況のもとで今年度は、わが国の農業経営に規模の経済性が観察されるのか否かについて、アドバンテージ・マトリックスを用いた統計分析を中心に研究を進めた。農業経営における規模の経済性の存在は、地域農業の担い手確保に不可欠な農業所得の増大をもたらす重要な要素であり、兼業所得の変動とともに、農村集落変動を規定する主要な要因の一つである。 データは、2016年、2017年、2018年の農業経営統計調査(農林水産省)の個票データ(サンプル数6268)を用いた。 分析結果から、土地利用型農業と一部の酪農・畜産に規模の経済性が確認できた。それ以外の、例えば露地野菜経営では、一定の規模までは規模の経済性が確認できるものの、そこを超えた規模になると規模の不経済生が観察され、気象条件の変化に大きく影響を受ける露地野菜作での規模拡大が難しいことを示唆した結果となった。また、施設園芸などでは、規模拡大を図るのではなく、品質向上等による販売単価の改善で収益性を高める戦略が重要になることを示唆する結果となった。ただし、今回の分析では平坦地域や中山間地域といった地帯区分を行っておらず、農村集落の変動が大きい中山間地域についてはさらなる分析が必要である。 この成果は、第56回東北農業経済学会(2020.11,福島大学、オンライン大会)で口頭報告し、同学会誌『農村経済研究』に掲載予定(受理済み)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は昨年度の実績報告にも言及したようにフィールド調査を主とする研究であるが、今年度は緊急事態宣言をはじめ各都道府県のCOVID-19感染防止対策の徹底が要請され、山形県、秋田県、宮城県での農村集落調査を行うことがまったく出来なかった。また、オンラインによる農家調査も検討したが、調査対象者からオンライン調査を実施する環境にない等の理由でヒアリング調査もできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ワクチン接種等により新型コロナウイルスの感染状況が好転した場合には年内にフィールド調査を実施する。状況が変わらない場合には、集落の悉皆調査ではなく、集落の状況をよく知る代表者のみにオンライン調査を実施し、そのデータと既存データを用いて分析を行い、これまでの分析結果と併せて研究を総括する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染防止対策の徹底や緊急事態宣言により、研究計画の主たる内容である山形県、秋田県、宮城県での農業集落調査が実施できなかった。 新型コロナウイルスの感染状況が好転した場合には予定通りフィールド調査を実施するが、状況が変わらない場合には集落悉皆調査は断念し、集落の代表者らを対象としたオンラインによるヒアリング調査を実施し、そのデータと既存のデータを用いた分析で研究を総括する。
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