研究課題/領域番号 |
17K07992
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
辻 和良 和歌山大学, 食農総合研究所, 特任教授 (00573784)
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研究分担者 |
岸上 光克 和歌山大学, 地域活性化総合センター, 教授 (20708002)
植田 淳子 和歌山大学, 食農総合研究所, 特任助教 (20779186)
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
櫻井 清一 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (60334174)
藤田 武弘 和歌山大学, 観光学部, 教授 (70244663)
細野 賢治 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (90271428)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 農産物直売所 / 都市農村交流 / 農業体験活動 / ファーマーズマーケット / 農家女性 / グリーン・ツーリズム |
研究実績の概要 |
令和元年度は昨年度に続いて、都市住民の交流・体験活動への参加実態、出荷農家の交流・体験活動参加の実態、交流・体験活動が農村コミュニティに及ぼす影響の解明などに取り組んだ。主な結果は以下のとおりである。 1.JA紀の里管内で行われている黒豆作業体験参加者とM直売所利用者へのアンケート調査結果によると、体験参加者のほぼ9割はM直売所で買い物をした経験を有していたが、その利用頻度と1回当たり購入額はともに直売所利用者に比べると少ない結果であった。一方、農業・農村に対する理解や愛着の程度は、農家との交流機会が少ない直売所利用者に比べて、直接農家と交流している体験参加者の方が高い結果となった。黒豆作業体験参加者の87%は、引き続き黒豆作業体験への参加を希望していたが、直売所利用者では農業体験への参加希望者は12%と低位であった。 2.千葉県鴨川市のA直売所への出荷者調査結果から、消費者との会話を経験している出荷者は自身の出荷行動を改善する傾向が強く、年間販売額などの実績指標で未経験者を上回る傾向がみられた。また、消費者との会話経験者は多種の交流型多角化活動にも積極的に参加していた。 3.M直売所に出荷している加工グループの構成員ヒアリング調査から、農家女性が加工品製造や販売といった新しい分野に挑戦すること、加工グループの中での仕事の分担や役職等に就くこと、加工活動を軸としながら農産加工体験や食育活動を行い地域で認められることで自分達の行動の自信へと繋がっていることが明らかとなった。 4.都市住民と農家の交流は、都市住民の農業・農村に対する愛着や相互理解を高める効果が期待できるが、体験参加者と直売所利用者の分析から分かるように、現在の大規模直売所ではこうした効果は限定的である。直売所の運営でこの効果を高めるには、直売所を核とした農業体験や直売所イベントにおいて生産者の参加・協力が欠かせない。
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備考 |
日本農業市場学会大会(2019年7月、神戸大学)において『農産物直売所の新たな展開に求められる機能と役割』と題してセッションを行い、成果を報告した。また、JA紀の里めっけもん広場において成果報告会(2019年12月)を開催した。 第4回農水産業技術支援展沖縄(2019年6月)等で、成果の一部を報告した。 2020年2月23日付日本農業新聞に「直売所を核とした交流」と題して成果を発表した。
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