本研究の目的は、無居住化の回避が難しい場合の次善策として「将来的な復旧の可能性を残した無居住化集落」の青写真と形成手法を提示することであり、大きく二つ、「人間と社会」(歴史的連続性など)、「自然と工学」(生産基盤など)の2系統に分けて実施した。 ・人間と社会:令和4年度の主な実績は、(1)農村の再構築に必要な年数を調べたこと、(2)民俗知の継承について検討したこと、(3)「将来的な復旧の可能性を残した無居住化集落」の受け入れの可能性について調査したこと(アンケート調査を実施したこと)である。期間全体としての主な実績は、次のとおりである(令和4年度を除く)。(1)「集落の歴史的連続性」「民俗知」「負の感情」などについて解明した。(2)集落維持の財政的な負担を試算した。(3)墓地のあり方について検討した。(4)担い手維持に関するお祭りの効果について検討した。(5)集落外住民の可能性について検討した。 ・自然と工学:令和4年度は、近年(2020年国調)、無居住化した集落を特定したことである。期間全体としての主な実績は、次のとおりである(令和4年度を除く)。(1)無居住化集落の抽出方法について検討した。(2)石川県下の全無居住化集落を対象とした現地踏査(土地利用調査)を実施した。(3)田畑(生産基盤)維持の環境的要因について分析した。(4)無居住化集落の類型化を行い、要因について分析した。 ・そのほか:「将来的な復旧の可能性を残した無居住化集落」形成を内包する「時空間的な連続性のある都市農村戦略論」について検討した。土地利用調査の成果などを市販の書籍として発表するため、出版社とやり取りを行った(令和5年秋に出版予定)。
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