三重県内の土地改良区において,高精細カメラ(Panasonic LUMIX DC-GF9)を用いて2台ある揚水機の積算稼働時間を1時間間隔で撮影した。SDカードに保存された動画ファイルを適宜回収し画像処理により数字認識させた。昨年度はエッジ検出でメータや数字部分を切り出していたが,メータ横にできる影の大きさが時刻により変化するため数字の位置がずれてしまう例が見受けられた。そこで,すべてのメータ画像には共通して”RESET”の文字が存在することに着目し,数字領域の抽出にもテンプレートマッチングの適用を試みた。メータ画像から”RESET”の位置を取得してその左上の座標と数字部分の領域のオフセットから数字部分を特定した。その結果,数字画像の領域は安定し,数字が切れる画像はなくなった。 数字認識には テンプレートマッチングを用いた。OpenCVには3種類の類似度を正規化した指標が実装されている。50枚のメータ画像を用いた予備実験では,3つの指標に認識率の違いは見られなかった。また,グレイスケール画像と二値化した白黒画像との比較では,白黒画像の方が高い認識率が得られた。 最適な解析条件を得るために,閾値を45から95の間で5ずつ変化させ,認識率の違いを比較した。その結果,テンプレートマッチングの3手法いずれにおいても閾値60および65では誤認識はなく100%の認識率となった。閾値の最適値は3つの手法で大きな差は見られなかったが,CCOEFF_NORMEDが最適閾値近傍での認識率低下が比較的少なかった。これは,CCOEFF_NORMEDが一般的に輝度値の変化の影響を受けづらいことと合致する。 予備実験の段階で,カメラ内蔵バッテリのみでは最大7日間しか連続撮像できないことが判明したため,外部からデジカメに電源を供給する回路を作成し,計54日間動作することを確認した。
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