| 研究課題/領域番号 |
17K08002
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| 研究機関 | 三重大学 |
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研究代表者 |
坂井 勝 三重大学, 生物資源学研究科, 講師 (70608934)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 土壌水分動態 / 地温変動 / 数値シミュレーション / 蒸発散 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、作物栽培圃場における土壌水分・窒素成分・地温、および硝酸態窒素の下方浸透量について、気象予報値を用いて中期的な予測を行うことを目的としている。H29年度はデントコーン栽培圃場において野外観測を行った。研究実施計画ではダイズ栽培圃場としていたが、前年度までダイズ栽培を行っていたことによる連作障害を避けるため、また今後の飼料作物の需要増加を想定して、デントコーン栽培圃場において測定を行った。
H30年度以降行う土壌水分・熱移動シミュレーションには、気象データと作物生育情報を考慮した地表面熱収支式を地表面境界条件として与える（表面二層モデル）。H29年度は、シミュレーションに必要な基礎的情報として、蒸発散潜熱や地表面熱フラックスといった熱収支成分と、作物生育状態との関係について検討を行った。植物の生育データについては、草高、単位面積当たりの葉の広がりを示す葉面積指数（LAI）、上空からの撮影と画像解析による地表面被覆率の測定を定期的に行った。土中水分量の変化を測定し、水収支法に基づいて蒸発散速度の変化を推定した。同時に熱収支ボーエン比法によっても蒸発散速度を推定し、水収支法と比較検討することで、より確からしい蒸発散速度の評価を試みた。また地温や熱流板で測定した土中の熱フラックスに基づいて地表面熱フラックスの測定を行った。求めた蒸発散潜熱や地表面熱フラックスと作物生育データとの比較を行い、デントコーンの生長にともなう熱収支成分の変化について明らかにした。
デントコーンやダイズのポット栽培実験を別途行い、土の乾燥にともなう蒸散速度の低下（乾燥ストレス）の評価を行った。特に、日単位の短期的な乾燥ストレスに対する作物の応答に焦点を当てた。ここから得られた知見は、今後行う数値シミュレーションにおいて、土壌水分量と根の吸水・蒸散をモデル化する上で非常に重要な成果であると言える。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の進捗状況としては、おおむね順調に進展していると言える。研究の大きな目的の一つに、作物栽培圃場における地表面熱収支式を用いた土壌水分・地温変動の数値シミュレーションがあるが、このモデルを検証するため、また基礎的知見を得るために、デントコーン栽培圃場における観測を行った。観測については、次年度以降も継続して行う予定である。
また、植物の蒸散・根の吸水をともなう土中水分移動のシミュレーションには、乾燥ストレスに対する植物の応答特性を把握し、モデル化する必要がある。H29年度は、ダイズおよびデントコーンのポット栽培実験によって、根の吸水モデルに必要な水ストレス応答関数を推定することができた。
作物生長を考慮した地表面熱収支を用いた数値シミュレーションを行うために、植生表面と地表面の二界面における熱収支を解く表面二層モデルを用いる予定である。H29年度には、このモデルに詳しい農業気象分野の研究者と打合せを行うことができ、モデルについて詳細な情報を得ることができた。さらに、気象情報の予測に関しても、「メッシュ気象データ」についての情報を得ることができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
H30年度の主要な研究目標としては、作物生育を考慮した地表面熱収支を考慮した土壌水分・地温変動予測モデルの構築である。水分・熱・溶質移動シミュレーションプログラムHYDRUS-1Dに表面二層モデルを組み込み、H29年度に得られたデントコーン畑の測定データと比較検討を行う。
また、圃場ではダイズ栽培条件下での観測を前年度と同様な方法で行う。これまでの測定結果では、水収支法や熱収支ボーエン比法等、間接的な方法で蒸発散量の評価を行ってきた。H30年度は新たに小型のライシメータを圃場に導入することで、土壌の重量変化から直接的に蒸発散量を測定する予定である。得られたより正確な蒸発散量を元に、数値シミュレーションに必要となる土壌の保水性を表す水分特性曲線と、透水性を表す不飽和透水係数を推定する。
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