本研究では、洪水および渇水現象による農作物被害が同じ場所で起こりうるにもかかわらず、それぞれの対応技術が個別に発展してきたことで様々な問題が生じていることを指摘し、東南アジア稲作地域を対象に冠水・干ばつ両被害緩和のための新たな統合的な栽培管理のあり方を示そうとした。広域時系列衛星リモセンを用いて各地域の被害実態を定量的・空間的に把握し、冠水-干ばつ被害の関係について作付暦の成立に着目して分析を行った。栽培が可能な期間は洪水や干ばつによって制限されるため、時間的余裕が少ない作付暦ほど環境変動による被害を受けやすい。この時間的余裕を定量化し両被害の適応策を統合的に管理する指標として提案した。
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